【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第9回
今回は「第五章」9回目、阿比留がトライロック藤咲店から遠海駅まで、ベルウッド紫浦まで限られた時間内に移動して犯行が可能かどうかを考えている場面です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第五章」#9
【文庫→四六判】オートバイを使えばそのあたりは解決する。(p148)→オートバイを使えばその辺りは解決出来る。
【文庫→四六判】飛ばせば有田智世の屍体があったアパートから十分ほどでビデオ店に来ることも可能だろうが―(p148)→飛ばせば、有田智世の屍体があったアパートから十分でビデオ店に来ることも可能だろう。だが―
【文庫→四六判】どうあれ蛎塚諒一の殺害には間に合わない。蛎塚が殺されただろう時間帯、佐藤はビデオ店の棚を眺めていたはずなのだ。(p148)→これらは全て有田智世の殺害のみを問題としている。蛎塚諒一の死亡推定時刻は午後五時五十五分頃。その時間、佐藤はビデオ屋の棚を眺めていたことになっているのだ。
【文庫→四六判】ということは必然的に、佐藤誠は犯人であるはずはない。(p148)→ということは必然的に、佐藤誠に二人を殺せたはずはない。
【文庫→四六判】冷房の効いてきたカローラに乗り込み、(p148)→ようやく冷房の効いてきたカローラに乗り込み、
【文庫→四六判】疑う相手を間違っているのかもしれないという予感をビデオ店の店員は裏付けてくれた。(p148)→疑う相手を間違っているのかも知れないという予感をビデオ屋の店員は裏付けてくれた。
【文庫→四六判】その店員までグルだとか、データが改竄された可能性を疑うしかない。だがそこまでの疑いは阿比留にはなかった。(p148)→例えばその店員までグルだとか、あるいはデータが改竄された可能性を疑うしかない。だが、そこまでの確信は阿比留にはなかった。
【文庫→四六判】勘も、店員は正直に答えたと告げている。(p148)→勘も、店員は正直に答えていると訴えている。
【文庫→四六判】店員の証言が正しいのだとしたら、時間か距離のどちらかをごまかす方法がなければならない。(p148)→店員の証言も正しいのなら、時間か距離、そのどちらかをごまかす何らかの方法がそこにはなければならない。
【文庫→四六判】法医学を信じれば、犯行時間と殺害現場は動かない。(p149)→だが法医学を信じれば、犯行時間も殺害現場も動かない。
ご覧いただきありがとうございました。
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