【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第六章」検証第4回
今回は「第六章」4回目です。
取調室での阿比留が佐藤誠と対面した場面です。
改めて佐藤が阿比留へ自供しています。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第六章」#4
【文庫→四六判】血を流すような怪我はしていない様子だったが、そのほかに思い付くことはすべて施されたのだろう。(p180)→顔に怪我はしていない様子だったが、その他に考えられることは全て施されたのだろう。
【文庫→四六判】着ている服は垢じみた上にじっとり湿っており、肌は脂でてかてか光っている。(p180)→着ている服は垢じみた上にじっとりと湿っており、肌は脂でてかてかと光っている。
【文庫→四六判】無精髭と眼の下のくまが一層のみすぼらしさを演出してもいた。(p180)→無精髭と眼の下のくまが、そこへ一層のみすぼらしさを演出してもいた。
【文庫→四六判】痩せた躰付きがまずそう。加えて瞼越しに見える瞳の透明度も記憶と一致した。(p181)→細い目がまずそう。加えて、その瞼越しに浮く瞳の透明度も記憶と一致した。
【文庫→四六判】阿比留はその正面に座った。(p181)→阿比留は前へ歩み出て、デスクへ座った。
※デスクに座ったのかどうかがわからなくなっていますね。椅子に座ったとも捉えられますね。
【文庫→四六判】ちゃらちゃらと手錠を鳴らしながら転げた椅子を立てて座り、小さな声で呟いた。(p181)→ちゃらちゃらと手錠を鳴らしながら転げた椅子を立てて座り直し、小さな声で呟いた。
【文庫→四六判】「本当に呼んでもらえるとは思いませんでした」(p181)→「本当に、呼んで貰えるとは思いませんでした」
【文庫→四六判】体調はともかく頭は回っているようだ。(p181)→体調は最悪だが、頭は回っているようだ。
【文庫→四六判】空気を察して沢木はデスクから離れた。そちらに頷き、改めて阿比留は佐藤に尋ねた。(p181)→空気を察し、沢木はデスクから離れていった。頷き、改めて阿比留は佐藤へ尋ねた。
【文庫→四六判】「……ええ、そうです」(p181)→「……ええ、そうですよ」
【文庫→四六判】元から澄んでいたせいで逆に濁ったようにも見えてしまう。(p181-182)→元から澄んでいたせいで光に濁ったようにも見えてしまう。
【文庫→四六判】その唐突な動作に阿比留は密かに戦いた。(p182)→あまりに唐突な動作に、阿比留は密かに戦いた。
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ご覧いただきありがとうございました。
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