注目の投稿

【検証】『日入国常闇碑伝』常闇の正確な発生期間

詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス) ー常闇の正確な発生期間ー 詠坂雄二『日入国常闇碑伝』の「常闇」の正確な発生期間が曖昧にしか書かれていないので、作品内から検討をつけました。 以後ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。 こちらのブログも...

2020年8月22日土曜日

『遠海事件』「第六章」#4 佐藤誠の自供

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第六章」検証第4回



今回は「第六章」4回目です。

取調室での阿比留が佐藤誠と対面した場面です。
改めて佐藤が阿比留へ自供しています。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。




【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「第六章」#4


【文庫→四六判】血を流すような怪我はしていない様子だったが、そのほかに思い付くことはすべて施されたのだろう。(p180)→顔に怪我はしていない様子だったが、その他に考えられることは全て施されたのだろう。

【文庫→四六判】着ている服は垢じみた上にじっとり湿っており、肌は脂でてかてか光っている。(p180)→着ている服は垢じみた上にじっとりと湿っており、肌は脂でてかてかと光っている。

【文庫→四六判】無精髭と眼の下のくまが一層のみすぼらしさを演出してもいた。(p180)→無精髭と眼の下のくまが、そこへ一層のみすぼらしさを演出してもいた。

【文庫→四六判】痩せた躰付きがまずそう加えて瞼越しに見える瞳の透明度も記憶と一致した。(p181)→細い目がまずそう加えて、その瞼越しに浮く瞳の透明度も記憶と一致した。

【文庫→四六判】阿比留はその正面に座った。(p181)→阿比留は前へ歩み出て、デスクへ座った。
※デスクに座ったのかどうかがわからなくなっていますね。椅子に座ったとも捉えられますね。

【文庫→四六判】ちゃらちゃらと手錠を鳴らしながら転げた椅子を立てて座り、小さな声で呟いた。(p181)→ちゃらちゃらと手錠を鳴らしながら転げた椅子を立てて座り直し、小さな声で呟いた。

【文庫→四六判】「本当に呼んでもらえるとは思いませんでした」(p181)→「本当に、呼んで貰えるとは思いませんでした」

【文庫→四六判】体調はともかく頭は回っているようだ。(p181)→体調は最悪だが、頭は回っているようだ。

【文庫→四六判】空気を察して沢木はデスクから離れたそちらに頷き、改めて阿比留は佐藤に尋ねた。(p181)→空気を察し、沢木はデスクから離れていった頷き、改めて阿比留は佐藤へ尋ねた。

【文庫→四六判】「……ええ、そうです」(p181)→「……ええ、そうですよ

【文庫→四六判】元から澄んでいたせいで逆に濁ったようにも見えてしまう。(p181-182)→元から澄んでいたせいで光に濁ったようにも見えてしまう。

【文庫→四六判】その唐突な動作に阿比留は密かに戦いた。(p182)→あまりに唐突な動作に、阿比留は密かに戦いた。


コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿