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2020年8月11日火曜日

『遠海事件』「第五章」#17 水谷の呪文

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「遠海事件」検証第17回



今回は「第五章」17回目です。

佐藤がいなくなるという予感は杞憂に終わったこと、ブックセルの倒産で水谷の前から佐藤が消えたことなどの部分から、場面変わって第5節、阿比留が遠海署の捜査本部へ戻ってき、吾妻と電話で話し始めたところまでになります。

また佐藤誠とブックセルの倒産について、水谷の呪文のことにもついて少し考えました。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。




【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第五章」#17


【文庫→四六判】なんと言っても彼女は十四歳。自分の世界だけで完結する理屈を信じられる年ごろだった。※この文のあと、文庫では一行分のスペースが空きます(p162)→何と言っても彼女はまだ十四歳。自分の世界だけで完結する理屈を信じられる年頃だった。

【文庫→四六判】翌日も翌月も、それどころか翌年まで佐藤はブックセル東遠海店の店長を務めたし、彼女はそこで高校受験のための過去問題集を買ったり、志望校の相談に乗ってもらったりしたのだ。(p162)→翌日も翌々日も、それどころか翌年まで、佐藤誠は変わらずブックセル東遠海店の店長を務めたし、彼女はそこで受験の為の過去問を買ったり、志望校の相談に乗って貰ったりしたのだ。
※ブックセル倒産が翌々年(2008年)2月なので、佐藤は東遠海店から異動したのか、東遠海店に最後までおり、ブックセルの営業自体が翌年2007年末迄で、2008年は事務処理のみ、ということも考えられるのでしょうか。

【文庫→四六判】だから翌々年の二月、ブックセルが潰れ、佐藤が姿を消した時も、水谷は起源の忘れられた呪文自らに唱えて収まることができたのだ。(p162)→だから翌々年の二月、ブックセルが潰れ、彼が姿を消した時も、水谷は起源の忘れられた呪文を自らへ唱え、それで良しと出来たのだ
※これは詠坂雄二の唱える呪文、アイロニックボマーとも関係があるのでしょうか。

【文庫→四六判】佐藤はいなくなり、なりたいものもまだ見つかってないけれど、大丈夫だと。(p162)→佐藤はいなくなり、なりたいものもまだ見付かってないけれど、自分は大丈夫だと

【文庫→四六判】そのまま何事もなければ、佐藤誠は綺麗な思い出として彼女の中で生き続けただろう。しかしそうはならなかった。(p162)→もしそのまま何事もなければ、佐藤誠は綺麗な思い出として彼女の中で生き続けただろう。だがそうはならなかった。

【文庫→四六判】捜査本部で缶コーヒー片手に阿比留がパレス遠海の見取図を見ていると、(p163)→遠海署の捜査本部へ戻り、缶コーヒー片手に阿比留がパレス遠海の見取図を見ていると、

【文庫→四六判】阿比留は頷いた。(p163)→あぁと阿比留は頷いた。

【文庫→四六判】捜査員が忙しく出入りしている。(p163)→人員が忙しく出入りしている。

【文庫→四六判】昼間の晴天から引き続き風も凪いでいる。(p163)→昼間の晴天から引き続いて風も凪いでいる。

【文庫→四六判】人影も見当たらなかった。(p164)→人影も幸いに見当たらなかった

【文庫→四六判】小野が訂正―隠蔽を求められたと今になって言ってきた。事件が話題になってるせいで恐くなったんだろうな」(p164)→小野が訂正―要は隠蔽を求められたって、今になって言ってきた。事件が話題になってるせいで、恐くなって相談してきたのさ


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