注目の投稿

【検証】『日入国常闇碑伝』常闇の正確な発生期間

詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス) ー常闇の正確な発生期間ー 詠坂雄二『日入国常闇碑伝』の「常闇」の正確な発生期間が曖昧にしか書かれていないので、作品内から検討をつけました。 以後ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。 こちらのブログも...

2020年8月2日日曜日

『遠海事件』「第五章」#8 遠海駅下り時刻表

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第8回



今回は「第五章」8回目、引き続き阿比留とトライロック藤咲店の店員との会話で、阿比留が店員の隙をついてディスプレイを覗き込む場面です。
その後レンタルビデオ店をあとにして、カローラの中でレンタルビデオ店のデータと、二人の死亡推定時刻から佐藤誠に行動できたかを考えている場面です。

遠海駅からの下り電車の夕方五時台の時刻表も判ります。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。




【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「第五章」#8

【文庫→四六判】……そうだ、確かこの人、長いこと棚を眺めてたんですよ」(p146)→……そう、確かこの人、結構長い間棚を眺めてたんですよ」

【文庫→四六判】「はい。まあ品揃えが悪い店のカードなんて邪魔になるだけですからね。そう、カードを作ったあともちょっと眺めてて、結局何も借りなかったんですけど」(p146)→「ええ。まあ、品揃えが悪い店のカードなんて、持ってても邪魔になるだけですからね。そう、カードを作った後もちょっと眺めてて、で、結局何も借りなかったんですけど」

【文庫→四六判】阿比留は頷き、何気なく店の入口へ眼をやり、驚き顔を作った。(p146)→阿比留は頷き、何気なく店の入口へ眼をやって、驚き顔を作った。

【文庫→四六判】釣られて店員がそちらを向いた隙に身を乗り出しカウンタのディスプレイを覗き込む。(p147)→釣られて店員がそちらへ向いた隙を衝きカウンタの中のディスプレイを覗き込む。

【文庫→四六判】テキストが並んでいるそこに、(p147)→テキストが一覧で並ぶそこに、

【文庫→四六判】気付いた店員は慌ててその画面を消すと、憮然として言った。(p147)→気付いた店員は慌ててキィボードを弄ってその画面を消すと、憮然として言った。

【文庫→四六判】駐車場に突っ込んでおいたカローラのエンジンをかけて冷房が効いてくるまでのあいだ、(p147)→駐車場に突っ込んでおいたカローラのエンジンを掛け、冷房が効いてくるまでの

【文庫→四六判】時間に幅を取ったとしても、彼の犯行は難しそうだ。(p147)→なお時間に幅を取ったとしても、彼の犯行は難しそうだ。

【文庫のみ】二つの死亡推定時刻から、犯人は午後五時台に遠海駅周辺にいた計算になる。(p147)

【文庫→四六判】だがビデオ店のある駅から遠海駅までは三駅、所用時間は、電車の待ち時間を無視しても十五分ほど。(p147)→ビデオ店のある駅から遠海駅までは、三駅。その所用時間は十五分程度

【文庫→四六判】さらには、駅から現場まで移動するのにも時間がかかる。午後五時半から六時ごろまでビデオ店にいたという佐藤誠に犯行は不可能だ。(p147)

だが時刻表によれば、平日の遠海駅から出る五時台の下り電車は、五分、十二分、二十分、三十二分、四十五分の五本しかない。有田智世の死亡推定時刻は五時二十五分プラスマイナス十分。幅の早い方へ合わせて殺害が十五分頃だったとしても、そこから全力疾走して遠海駅まで十分は掛かり、乗るのは三十二分の電車になってしまう。ビデオ店には六時前に飛び込む計算だ。会員カードを作る時間には間に合うが、それ以前に棚を眺めていたという時間は取れない。

※帰宅ラッシュの夕方五時台に、一時間五本の運行は少し少ない気もします。夕方の遠海駅前は渋滞すると言っているので(文庫p116)、もう少し多いほうが乗客は助かるかもしれませんね。
遠海駅周辺に県下有数の繁華街があるのなら、人通りが多いはずなので、この本数だと確実に少ないですね。


コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿