【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第16回
今回は「第五章」16回目です。
佐藤と水谷と「ひどい人間なのか」などの会話部分から、佐藤と別れて水谷が恩師について考えています。強いて言うなら佐藤かと。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第五章」#16
【文庫→四六判】車ばかり多く人通りは少ないが、(p159)→車ばかり多くて人通りは少ないが、
【文庫→四六判】水谷は一瞬考え、慌てて注意を佐藤に戻した。(p159)→水谷は一瞬考え、慌てて注意を戻した。
【文庫→四六判】佐藤は笑いを収め、小刻みに頷いていた。(p159)→佐藤は笑いを収め、小刻みに頷いた。
【文庫→四六判】「僕はひどい人間だってことだよ。深読みは……してもらいたくはないなあ」(p159)→「いや、僕は酷い人間だっていう、それだけだよ。深読みは―して貰いたくはないなあ」
※深読みしたらきっと殺されちゃいますね。
【文庫→四六判】「なんかやだな。―死んじゃわないでよ」「死なないよ。そういうふうにはできてない」(p160)→「何かやだな。―死んじゃわないでよ」「死なないよ。そういう風には出来てない」
【文庫→四六判】うんそんなものなのかもしれない。(p160)→―うん、そんなものなのかも知れない。
【文庫→四六判】教師の顔などひとつとして浮かばないし、親はまた別枠で考えるものだと思っている。(p160)→教師の顔など、今現在の担任も含めて一つとして浮かばないし、親はまた別枠で考えるものだろうと思っている。
【文庫→四六判】あたしもあんなふうになるかもしれない。らしくない素振りで、涙とか流したりして。(p161)→あたしもあんな風になるかも知れない。らしくない素振りで涙とか流したりして。
【文庫→四六判】そうなったら世界を寒々しく感じるに違いない。(p160)→いくら考えてもそうした自分を想像することは出来なかったが、そうなったら世界が寒々しくなるという確信はあった。
【文庫→四六判】駅舎の階段を降りたところで彼女は立ち止まった。周囲を見回す。(p161)→駅舎の階段を降りたところで立ち止まった。そして周囲を見回す。
【文庫→四六判】少し歩けば神社と田園も見えてくる街並みだ。(p161)→少し歩けば神社と田園も見えてくる地方の街だ。
【文庫→四六判】そんな景色の中、水谷はふと思ってしまった佐藤がいなくなるかもしれないという予感を拭うことができないでいた。(p161)→そんな世界で、水谷はふと思ってしまった佐藤がいなくなるという予感を拭うことが出来ないでいた。
【文庫→四六判】佐藤のことを、軽はずみな嘘を吐く人間だと思っていたわけではないのだけれど、(p161)→佐藤を軽はずみな嘘を吐く人間だと思っていたわけでは別にないのだけれど、
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ご覧いただきありがとうございました。
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