【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第11回
今回は「第五章」11回目です。
第二節が終わり、第三節に移ります。節と節の区切りの◆は、四六判では1、2と数字がうたれています。
時野がバイト中に首切りのことを考えている場面から、水谷が佐藤に会いにブックセルにやってくるところまでになります。
『リロ・グラ・シスタ』の半年前のことです。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第五章」#11
【文庫→四六判】遠海首切り殺人と名付けられたそれはワイドショウのネタとして連日取り上げられ、ネットの匿名掲示板や無数のブログを賑わわせていた。(p150)→遠海首切り殺人と名付けられたそれは、予想通りにワイドショウのネタとして連日取り上げられ、ネットの匿名掲示板群や無数のブログを賑わわせていた。
【文庫→四六判】それでも首がどのように切断されていたかなどの情報は得ることができた。(p150)→それでも首がどのように切断されていたかなどの情報は得られた。
【文庫→四六判】じきに警察が犯人を捕まえて事件は決着してしまうのだろうと予感してもいる。(p150)→そこへ合理的な理由もなく、じきに警察が犯人を捕まえ、事件は決着してしまうのだろうと予感してもいる。
【文庫→四六判】そうした若い本読みにありがちな皮肉は彼の場合、(p150)→そうした若い本読みにありがちな程度の低い皮肉は彼の場合、
【文庫→四六判】それにより被る実害もなく、だからこそ早く謎を解かないといけないというふうに思考は流れていた。(p150)→それにより被る実害もそうはなく、だからこそ早く謎を解かないといけないという風に思考は流れたのだ。
【文庫→四六判】でなくとも土曜日。(p150)→でなくとも今日は土曜日。
【文庫→四六判】週休二日制を謳歌する彼は長いバイトのあいだ、接客も上の空で事件の謎を考えることができたのだ。(p150)→週休二日制を謳歌する彼は、長いバイトの間中、接客も上の空に事件の謎を考えることが出来たのである。
【文庫→四六判】嘯ける程度に名探偵を希望する彼にとって至福の時は、けれど午後四時すぎ、唐突に現れた水谷によって破られた。(p151)→嘯ける程度に名探偵を希望する彼にとって至福の時だったが、その空想は午後四時過ぎ、唐突に現れた水谷により破られた。
【文庫→四六判】「……くびきり?」(p151)→「……首切り?」
【文庫→四六判】いつもの無表情で続けられたのは、(p151)→そこへいつもの無表情で続くのは、
【文庫→四六判】「佐藤さんは?」(p151)→―佐藤さんは?
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ご覧いただきありがとうございました。
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