詠坂雄二『T島事件 絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか?』(光文社文庫)は、結局誰がどう死んで何がどうなったのか……!?
ややこしいので整理してみました。
まず『T島事件』のあらすじです。
光文社文庫裏表紙からの引用です。
映像企画制作会社のプロデューサーから月島前線企画に調査依頼があった。ロケハンのため孤島に渡った六人が全員死亡したという解決済みの事件。膨大な記録映像が残っており、警察も捜査を終えている。依頼人は、残された映像を彼らの遺作として公開するため、真偽を調べて欲しいというのだが……。名探偵・月島凪は誰にも見えなかった真相にたどり着けるのか?
以下ネタバラシがありますので作品読了後にご確認ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【誰が誰を殺したのか】
皆原明人→幟川昌義と槇真一郎を殺害。
笹本豊→林勝を殺害した。
【渡島した六人の死んだ順番】
①幟川昌義・美術(皆原に灯台南側の崖から突き落とされて死亡・殺人)
②槇真一郎・AD(貯水池で皆原に溺死させられる・殺人)
③皆原明人・ディレクター(落下してきた灯台の風見鶏の下敷きになり死亡・自殺)
④城之内京三・カメラマン(灯台から転落死・事故)
⑤林勝・脚本家(笹本に殺害される・殺人)
⑥笹本豊・カメラマンアシスタント(崖から投身・自殺)
※①と②は同時間あたりでどちらが先かは判らない。
※城之内、林、笹本の死は、皆原にとって予想外の出来事で、皆原自身の自殺で完結する予定だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【T島事件の流れ】
●ディレクターの皆原は月島凪の活躍する映画を撮りたいと考えた。
以前、月島凪(と藍川慎司)に会ったことがあり、彼女の活躍の噂を聞いたことがある、もしくは実際見たのかも知れない(この辺どうなのかは不明。皆原は過去に民放テレビの報道局に在籍していたので、その時に会った可能性もある)。
そこでへんてこな企画をいくつも思い付く皆原は、月島凪の活躍に値するであろう今回の孤島行きを企画し、そこで自分含めて三人を殺害する計画を立てた。当初は全員が死亡する計画ではなかった。
●島へ渡ったあと、皆原は計画通り幟川と槇を殺害し、自分も風見鶏の下敷きになり死亡した。
●城之内は、島から離れる当日朝、もう一度灯台周辺を見たくて一人で灯台へ行く。そこで灯台に上り、皆原が細工して緩んだ梯子から転落死した。
●残ったのは笹本と林で、自分が犯人では無いと確信している笹本が、林を犯人と決めつけ殺害。
その後に城之内が最期まで回していて映像を確認すると、城之内は事故死だったので他の三人も事故死だったのでは、と考え自殺する。
●翌月、瓶子文生が月島前線企画へ依頼をする。荻田と塚原が主となって調査をする。
●別件調査が終了した月島と藍川が戻り、月島前線企画全員と瓶子の合計5人で、再渡島する。瓶子自身は、警察の出した結論に納得した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご覧いただきありがとうございました。
大まかな流れはこのようなものになると思われます。
ご意見などお待ちしております。
皆原の遺作になるはずだったこの映画は、完成させる動機がなくなったということで、作中の2016年11月現在においても完成していないと思われます。おそらく。
ただ「補遺」で詠坂雄二がビデオカメラを回しているので、作品世界で『T島事件』が上梓されたあとに映画化されるという可能性も考えられますね。
0 件のコメント:
コメントを投稿