【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第六章」検証第8回
今回は「第六章」8回目です。
引き続き取調室での阿比留と佐藤の会話です。
ビデオ店でもっと詰めて確認すれば良かったと阿比留に言う場面、何故二人を殺したのか、有田智世まで殺したのかを佐藤に訊いている場面です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第六章」#8
【文庫→四六判】実行へ移したと語って少しも恥じる様子がない。(p188)→実行へ移したと語り少しも恥じる様子がない。
【四六判のみ】昨夜電話で聞かされて以来、(文庫p188の10行目"どうしても重ならずにいた”の文の前に入る)
【文庫→四六判】だからねと佐藤は眠そうに眼をこすった。(p188)→だからね、と佐藤は眠そうに眼を擦った。
【文庫→四六判】「店員に話を聞いた時、阿比留さんは住所と電話番号を確認すべきだったんですよ。(p188)→「店員に話を聞いた時、住所と電話番号を確認すべきだったんですよ。
【文庫→四六判】ちょっとしたすれ違いの結果なのだ。(p189)→ほんの少しのすれ違いの結果なのだ。
【文庫→四六判】そうした条件が偶然に続いたことで通ってしまった間違いだった。(p189)→そうした条件が偶然に続き、奇跡的に通ってしまった間違いだった。
【文庫→四六判】「恩師でも邪魔は邪魔です。いなくなればいいのになあと思って。(p189)→「恩師でも、邪魔は邪魔です。いなくなればいいのになあと思ってね。
【文庫→四六判】そういうふうにできてるんだ。……僕がやらなきゃって義務感もあったかなあ。恩師だからこそ他人には任せられないって」(p189)→そういう風に出来てるんだ。……他にも、僕がやらなきゃって義務感もあったかなあ。恩師だからこそ、他には任せられないって」
【文庫→四六判】佐藤は肩を揺すってみせた。(p190)→佐藤は肩を揺すった。
【四六判のみ】まだ答は半分だと阿比留は言う。(p190)→苛立ちを隠そうと咳払いし、まだ答は半分だと阿比留は言う。
【文庫→四六判】いや、殺したのは有田智世のほうが先だったろう。死亡推定時刻がそうなっている。なぜだ」(p190)→……いや、殺したのは有田智世の方が先だったろう。死亡推定時刻がそう出ている。何故だ」
【文庫→四六判】その不安を取り払ってあげるために、殺しといてあげたんです。……いつもはそこまでやらないんですけど、なんと言っても蛎塚専務は恩師ですからね。デジカメであの子の屍体を写しておいて、それをこう専務へ見せてあげながら―」(p190-191)→その不安を取り払う為に、わざわざ子供を殺しといてあげたんです。……いつもはそこまではやらないんですけど、何と言っても蛎塚専務は僕の恩師ですから、デジカメであの子の屍体を写しておいてね、それをこう専務へ見せてあげ―」
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