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2020年8月30日日曜日

『遠海事件』「第六章」#12 探偵月島

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第六章」検証第12回



今回は「第六章」12回目です。
引き続き阿比留と沢木が話している場面です。
遠海事件以外に屍体が出た事件はあるのか、誰が佐藤誠の自首のきっかけを作ったのかなど、阿比留が警視庁をあとにするまでになります。


自首するきっかけのこの事件(佐藤誠最後の事件)は、おそらく『昨日の殺戮儀』に書かれている六本木〈サードハンド〉オーナー殺人事件のことだと思われます。

この場面で月島凪の名前が初めて出てきます。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。




【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第六章」#12


【文庫→四六判】それだけにその規格外ぶりが際立つ。(p195)→それだけにその規格外ぶりが際立って見える

【文庫→四六判】法の理念ははみ出ている。(p195)→法の思想ははみ出ている。

【文庫→四六判】そう思った瞬間に見えてしまったものから眼を逸らそうと、阿比留は尋ねた。(p196)→そう思った瞬間に見てしまった何か巨大なものから眼を逸らそうと、阿比留は尋ねた。

【文庫→四六判】「遠海事件だけなのか、屍体がちゃんと出たのは」(p196)→「遠海事件だけなのか、屍体が出たのは

【文庫→四六判】民間人―探偵に犯行を告発されたからとか言ってました。確か、月島とか」(p196)→「……民間の協力ですよ。探偵に犯行を告発されたからとか言ってました。確か―月島とか」
※詠坂雄二全作品で、初めて月島凪の名前が出てきた場面です。

【文庫→四六判】「なるほどな」阿比留はようやく事態の厄介さを理解した。(p196)→「成程な」阿比留はようやく事態の厄介さを理解した。

【文庫→四六判】「あいつの存在自体が、警察の無能を証しているわけか」(p196)→「あいつの存在自体が、警察の無能を証しているというわけか
※四六判では、"十年にわたり数十人の人間を殺しながら、”の文の直前に位置しています。

【文庫→四六判】しかもそいつを自首に導いたのは警察ではなく民間人。(p196)→しかもそいつを自首へと導いたのは警察ではなく民間人。

【文庫→四六判】「あとの四件は屍体が出ながら自殺や事故として処理されていました。(p196)→「他の四件に至っては屍体は出たものの、自殺や事故として処理されていました。

【文庫→四六判】「見た通り弁護士の立ち会いすら希望せず、死刑を望んでいる節さえある。でも」「このままだと裁判で勝ち目はない」(p197)→「見た通りです。弁護士の立ち会いすら希望せず、死刑を望んでいる節さえある。でも―」「このままだと裁判での勝ち目はない」

【文庫→四六判】なるほどと応え、阿比留は拳を握り締め、腰の高さまで持ち上げると、訝しげな沢木の腹に叩き込んだ。躰を浮かせて蹲る彼へ、(p197)→成程なと応え、阿比留は拳を握り締め、腰の高さまで持ち上げると、訝しげな沢木の腹へ叩き込んだ。そのまま躰を浮かせて蹲る彼へ、

【文庫→四六判】面子大事が負け戦深刻ぶってんじゃねえ!」(p197)→面子大事が負け戦深刻ぶってんじゃねえ!県警舐めんな

【文庫→四六判】休憩室を出ようとする阿比留に、待てと声がかかった。振り向くと、腹を抱えた沢木が虚ろな瞳を吊り上げ、睨みを寄越していた。(p197)→休憩室を出ようとする阿比留へ、待てと声が掛かった。振り向くと、腹を抱えた沢木が虚ろな瞳を目一杯吊り上げ、睨みを寄越していた。

【文庫→四六判】「そうさ。だから裏は取ってやる。(p198)→「そうさ。だから吐いた中身の裏は取ってやる。

【文庫→四六判】忘れて唱えられる題目にはな」(p198)→忘れて唱える題目にはな」


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