【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第六章」検証第9回
今回は「第六章」9回目です。
阿比留が佐藤誠の頬を本気で殴った場面から、阿比留と沢木が取調室を出て会話している場面の途中までになります。
ちなみに阿比留が取調室で佐藤と会った2009年年明け、他作品では2009年元日、柵馬朋康のもとに宇波由和から年賀状が届き、1月3日に宇波由和が自殺、柵馬朋康がファミコン版のドラクエⅢを一日半でクリアした時期あたりになります(『インサート・コイン(ズ)』)。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第六章」#9
【文庫→四六判】デスク越しに飛んできた拳が頬に突き刺さり、(p191)→デスク越しに飛んできた拳が頬へ突き刺さり、
【文庫→四六判】甲が擦りむけていたが、怒りのせいで痛みもない。なるほどと頷く。(p191)→甲が擦りむけていたが、怒りのせいか痛みはない。成程なと頷く。
【文庫→四六判】こんな話を三日間も聞かされたら常人は発狂してしまう。刑事であっても心に何も感じないというわけにはいかない。(p191)→こんな話を三日間も聞かされたら、常人は発狂してしまう。刑事であっても、精神に何も感じないというわけにはいかない。
【文庫→四六判】佐藤は床へ赤い唾を吐き捨てた。(p191)→佐藤はぺっと床へ赤い唾を吐き捨てた。
【文庫→四六判】音を立てて転がるのは奥歯だろう。何事もなかったかのように椅子へ座り、呟いた。(p191)→音を立てて転がりゆくのは奥歯だろう。何事もなかったかのように彼は椅子へ座り、呟いた。
【文庫→四六判】人の躰を切るのは得意なんですよ。なんでだったろう?(p191)→人を切るのは得意なんですよ。何でだったろう?
【文庫→四六判】蛎塚諒一を殺したあと、お前はわざわざアパートに戻って有田智世の首を切断している。(p191)→切ったのは蛎塚諒一を殺した後だ。お前はわざわざアパートに戻って有田智世の首を切断している。
【文庫→四六判】「二年半前のことですよ。(p192)→「二年半前のことなんですよ。
【文庫→四六判】阿比留は額を揉みつつ立ち上がった。(p192)→阿比留は額を揉み、ため息を吐いて立ち上がった。
【文庫→四六判】壁際の沢木に頷いて一緒に取調室を出る。休憩室で煙草はないかと尋ねると、(p192)→振り返り、壁際の沢木へ合図して取調室を出る。隣の休憩室で煙草ないかと尋ねると、
【文庫→四六判】もちろん煙草だけのせいではない。(p192)→勿論、煙草だけのせいではない。
【文庫→四六判】やつは嘘を言っていると思いますか」(p192)→―奴は、嘘を言っていると思いますか」
【文庫→四六判】……けど俺は二年半前、あいつをシロと判断したんだ。(p192)→……けどな、俺は二年半前、結局あいつをシロと判断したんだ。
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ご覧いただきありがとうございました。
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