【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第19回
今回は「第五章」19回目です。
引き続き、阿比留と鑑識課の吾妻との会話です。
死亡推定時刻を遅らせることは出来るのか、首切りについて新たに判ったことはないかの話をしています。
その後は阿比留と松代との会話です。パレス遠海の抜け道が見付かったという報告です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第五章」#19
【文庫→四六判】一律に全身を冷やしたとしても、それぞれの屍体現象への影響はばらばらだ。(p166)→厳密には、一律に全身を冷やしたとしても、遅らせられるそれぞれの要素への影響はばらばらだからな、
【文庫→四六判】死亡推定時刻は不明としておくのが法医学者の誠実というものだ」(p166)→死亡推定時刻は不明としておくのが法医学の誠実というものだ」
【文庫→四六判】「首切りについて、新たに判ったことはないか」「ないな。過去の類似例と比べるたび、手際の良さに唸らされるばかりさ。(p166-167)→「……首切りについて、新たに判ったことはないか」「ないな。手際の良さが知れるばかりさ。
【文庫→四六判】切ったやつは、作り物の殺人鬼ほども行為に情緒を覚えていやしない」(p167)→切った奴は、作り物の殺人鬼程にも行為へ情緒を覚えていやしない。確信犯の仕業だろうよ」
【文庫→四六判】通話を終えて捜査本部へ戻ると、松代が息を切らして話しかけてきた。(p167)→通話を終えて捜査本部へ戻ると、出先から帰っていた松代が息せき切って話し掛けてきた。
【文庫→四六判】「マンションの抜け道、見つかりましたよ。ピザ屋の証言を周辺住民に照らした時に判りました。(p167)→「見付かりましたよ。マンションの抜け道。ピザ屋への聞き込みを住民へ照らした時に判りました。
【文庫→四六判】二階の通路、非常階段へ出るドアのそばにある手すりが、ちょうど隣のアパートとの境にある堀より少し高いんですよ。(p168)→二階の通路、非常階段へ出るドアの側にある手摺りが、丁度、隣のアパートとの境にある堀より少し高いんですよ。
【文庫→四六判】そこへ上れば侵入は簡単にできるんです」(p168)→そこを伝えば侵入は簡単に出来るんです」
【文庫→四六判】十メートルばかり堀の上を歩かなきゃいけませんが、足場は水平ですし、建物と建物のあいだで外から死角になってるんで、目撃される心配もありません」(p168)→十メートルばかり堀の上を歩かなきゃいけないんですが、足場は水平ですし、建物間の死角ですから、目撃される心配もありません」
【文庫→四六判】これで防犯カメラに映らずにマンションへ入る経路はクリアされた。(p168)→これで防犯カメラへ映らずにマンションへ入る経路はクリアされた。
【文庫→四六判】小学生が近道に使うような経路だ。(p168)→小学生が学校への近道に使うような微笑ましい経路だ。
【文庫→四六判】だがアリバイはまだだった。(p168)→だが、アリバイはまだだった。
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