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2020年7月10日金曜日

『遠海事件』「第四章」#8 首切りの道具

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第8回


今回は「第四章」8回目、引き続き阿比留と吾妻との会話です。

首の切断にかかる時間、どのようにして首を切断するか、切断した凶器についてです。
文庫と四六判では、凶器の可能性が違っています。下記をご覧ください。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。




【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第四章」#8


【文庫→四六判】「……首の切断はどれくらいでできる?」(p112)→「……首の切断ってのはどれくらいで出来る?」

【文庫→四六判】刀を用いた斬首なら一瞬だ」(p112)→刀での斬首なら一瞬だ」

【文庫→四六判】刀という可能性は捨てたものじゃない。(p112)→刀って可能性は捨てたものじゃない。

【文庫→四六判】吾妻は空想の前髪を掻き上げる仕草をした。(p112)→吾妻は空想の前髪を掻き上げた。

【文庫→四六判】左手で髪を掴んで、屍体の首をのけぞらせた状態で刃を入れたんだろう。(p112)→こう、左手で髪を掴んで、首をのけぞらせて刃を入れていったんだろう。

【文庫→四六判】肉や筋、気管血管を断ち、骨を外したんだ。子供の首だ。慣れていれば一分とかからないだろう」(p112)→肉や筋、気管血管を断ち、骨を断ったんだ。ことによると二、三分で出来たかも知れない」

【文庫→四六判】部屋には五分といなかったと。(p113)→部屋には五分といなかったろうと。

【文庫→四六判】それでも首を切断することはできなくもないのだ。(p113)→それでも、首を切るのは満更出来なくもないのだ。

【文庫→四六判】「死因の頸動脈切断で大量の血液が流れたあとの頸部切断だ。切り方も使った道具も同じだろうが……若干蛎塚諒一のほうが綺麗だった」(p113)→「頸動脈切断で大量の血液が流れた後の切断だからな」

【文庫→四六判】「最初に切断したから、まだ切れ味が落ちていなかったと?」「恐らくはな。研ぐ暇がなかったんだろう。つまり首切り用の刃物も一本きりだ」(p113)→「互いの切断面にどちらかの血液が見付かったりは」「さっきも言った通り、蛎塚諒一の死因となった傷から有田智世の血液が検出されてはいる。だがそいつはほんの少量だ。犯人は首切り用に二本の刃物を持っていたか、でなければ、よく洗ってから次の切断に取り掛かったんだろう」
※四六判では首切りの刃物は二本あるかもしれない、文庫では一本だけと断定しています。

【文庫→四六判】阿比留は考えた。判ったことを考え合わせると―(p113)→とすると―。


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