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2020年7月22日水曜日

『遠海事件』「第四章」#19 疑われる佐藤

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第19回



今回は「第四章」19回目、阿比留が電話口の松代に、再度調べた防犯ビデオに不審者や新たな情報がなかったか確認を取っている場面です。その後斎場から出てきた佐藤に阿比留が一昨日のことを尋ねているところです。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。


【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第四章」#19


【文庫→四六判】「マンションの住人に関してはすべて本人の確認が取れました。(p126)→「別動によると、マンションの住人に関しては本人へ確認が取れたらしいんですよ。映像に身元不明な人影はなし。

【文庫→四六判】お待たせしましたと言う佐藤に頷いて、阿比留は新村を見た。(p126)→お待たせしましたと言う佐藤へいえいえと応じ、阿比留は含んだ瞳で新村を見た
※この場面もそうですが四六判の阿比留は、硬派な感じではなく少し隙がある刑事のような印象を受けますね。

【文庫→四六判】容疑者の同僚は権力の横暴から仲間を護ることを使命と心得た顔付きで、(p126)→だが、容疑者の同僚は権力の横暴から仲間を護ることを使命と心得た顔付きでおり

【文庫→四六判】咳払いをひとつして阿比留は佐藤に尋ねた。(p126)→咳払いし、阿比留は佐藤へ向き直った

【文庫→四六判】相手は憔悴した顔をふと綻ばせ、そうかと頷いた。(p127)→相手は憔悴した顔をふと綻ばせた。狂ったと思ったのか、新村が恐怖にかられた眼を向ける。阿比留が黙っていると、そうかと佐藤は頷いた。そうでしたね。

【文庫→四六判】「待ち伏せしといて、そんな台詞は通りませんよ」(p127)→「待ち伏せしておいて、そんな台詞は通りませんよ」

【文庫→四六判】驚いたなあと佐藤は言う。(p127)→驚いたなと佐藤は言う。
※このあと、「警察に疑われるのなんて初めてですよ」と佐藤の台詞がありますが、嘘ではなく、過去多数殺してきたけど本当に疑われるのは初めてということでしょう。「コラム①佐藤誠 その名と身分と透明性」と「コラム②佐藤誠 その技術と遠海事件」でも触れられています。

短編「誠」にあるような屍体の処理は、翌日仕事が休みの日か休日にしたのでしょうね。ブックセル時代の殺人は体力的にキツくなかったのかという疑問もよぎります。

ご覧いただきありがとうございました。
高校時代の初めての殺人も、疑われることはなかったのでしょうか。

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