【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第18回
今回は「第四章」18回目、阿比留が定期バスから降りてきた新村と佐藤と会話をしている場面です。その後、有田亜衣子が自殺を図ったと松代から電話が掛かってくる場面です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第四章」#18
【文庫→四六判】今度は刑事の仕事に嫌気が差す。事実、阿比留はそのようにして警察を去った同僚を何人も見てきた。(p124)→今度は刑事の仕事へ嫌気が差す。事実、阿比留はそのように警察を去った同僚を何人も見てきた。
【文庫→四六判】ゆえにそうした悩みを持つことはなく―それはいつしか自負にすらなっていた。(p124)→故にこそそうしたことを今更悩むことはなく―それはいつしか、自負にすらなっていた。
【文庫→四六判】目の前を定期バスが通りすぎていった。阿比留は何気なくバス停のほうを見やり、そこに目当ての姿を見つけた。(p124)→目の前を定期バスが通り過ぎ、彼は降りた客の中に目当ての姿を見付けた。
【文庫→四六判】喪服姿の佐藤の隣にもうひとり、昨日、ブックセル東遠海店へ赴いた際に出会った新村がいた。(p124)→控えめな喪服が今、相手が持つ存在感の薄さを帳消しにしている。その脇を歩くのは、昨日、ブックセル東遠海店へおもむいた際に店長代理を務めていた新村のようだ。
【文庫→四六判】気付いた新村が不審気な会釈を寄越したのを機に、阿比留は声をかけた。(p125)→刑事の存在に気付いた新村が不審気な会釈を寄越し、応えて阿比留も声を掛けた。
【文庫→四六判】新村の不審はみるみる敵意に変わっていった。(p125)→新村の不審はみるみる敵意へ変わっていった。
【文庫→四六判】その背後で放心に近い顔でいる佐藤を見た。(p125)→その背後で放心に近い顔でいる佐藤を眺めた。
【四六判のみ】「では後程」その向こうで阿比留を睨む新村は、両眼へ敵愾心と怒りを浮かべている。(文庫p125の13と14行目の間に入る)
【文庫→四六判】二人の姿が斎場に消えた時、(p125)→二人が斎場へ消えると同時に、
【文庫→四六判】出てみると開口一番、やばいことになりましたと声が聞こえた。「有田亜衣子が病室で自殺を図ったそうです。窓硝子を割って三階から身を投げたとか」(p125)→「やばいことになりました。―有田亜衣子が病室で自殺を図ったそうです。窓硝子を叩き割って、三階から身を投げたとか」
【文庫→四六判】「目の前でやられたってのか。―下手打ちやがって」(p125)→「目の前でやられたってのか!?」
【文庫→四六判】「気にしてもしょうがない。責任は本部長持ちだ。ビデオはどうだった?」(p126)→「……気にすんな。責任は本部長が取る。ビデオはどうだった?」
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