【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第3回
今回は「第五章」3回目、引き続き佐藤と新村との会話で、高校時代に近くで見た刑事のこと、書店員は性に合っていることなどを話しています。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第五章」#3
【文庫→四六判】たまたまそれが法とも重なっていたから刑事になったって感じだったんだ。で、多分そういうのが本当なんだろうなあって思ってさ」「素質ってやつか」「そうなのかな。とにかく世界に用意されたルールなんて大したものではないというか、個人には護りきれないものだって思ったんだ。(p138)→たまたまそれが法とも重なっていたから刑事を仕事にした、って感じだったんだ。それを知った時に、多分それが本当なんだろうなあって。世界に用意されたルールなんて大したものではないというか、個人に護りきれないものだって思ったんだ。
【文庫→四六判】理屈まで理解できたことならずっと覚えていられる。(p138)→理屈まで理解出来たことなら今でも忘れず覚えてる。
【文庫→四六判】少し考える素振りを見せ、もっと深く頷いた。(p138)→少し考える素振りを見せ、今度はもっと深く頷いた。
【文庫→四六判】「僕の性根というか、変えられない性分はさ、悩むとかなり早い段階で、法に触れることを嫌がる判断を放棄するんだ」(p138)→「僕の性根っていうか、変えられない性分はさ、悩むとかなり早い段階で、法に触れることを拒否する判断を放棄するんだ」
【文庫→四六判】「誰だってそうだろ。車運転すれば速度超過や信号無視くらい平気でやる。万引だって俺らにとっちゃ日常だ。(p138-139)→「……誰だってそうだろ。速度超過や信号無視くらい平気でやる。俺等に馴染みの万引き一つ見たってありふれまくってるじゃないか。
【文庫→四六判】ほかも当たってみないのは逃げだ、(p139)→他に当たってみないのは逃げだ、
【文庫→四六判】もう昔のこと、まだ十代だったころの話だ。(p139)→もう大分遠い昔のこと、まだ十代だった頃の話だ。
【文庫→四六判】だからとりあえず進学して流れで本屋に就職してみて―(p139)→だから、取り敢えず進学してみて、流れで本屋に就職してみて―
【文庫→四六判】本当に意外そうな顔で同僚は何度も頷く。(p140)→本当に意外そうな顔で同僚は幾度も頷く。
【文庫→四六判】みたいなつまんない駆け引きに頭絞る感じが、悪くないんだよな」(p140)→みたいなつまんない駆け引きに頭絞る感じがさ、悪くないんだよなあ」
【文庫→四六判】「うん。天職だなって思えてきててさ。だから余計にここへ来てこんなことになって、(p140)→「そう。これは間違いなく天職だなって、最近思えてきてたんだよ。だから余計に、ここへ来てこんなことになって、
【文庫→四六判】運命が収支合わせにきた感じがしてさ。(p140)→運命が収支合わせにきたって感じがしてさ。
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