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2020年7月7日火曜日

『遠海事件』「第四章」#5 首切りの技術

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第5回


今回は「第四章」5回目、引き続き阿比留と吾妻の会話です。
小野という検案担当医から聞いた法医学的に見た首の切られ方、二人の首切りから気になることがあるという話です。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。





【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第四章」#5


【文庫→四六判】小野というのは県下にある国立大学法医学教室に在籍する助教だ。(p109)→小野というのは県下にある国立大学の法医学教室に在籍する助教だ。

【文庫→四六判】蛎塚諒一と有田智世の司法解剖を執り行っている。(p109)→蛎塚諒一と有田智世の司法解剖まで執り行っている。

【文庫→四六判】吾妻のなれなれしい呼び方は学生時代の序列から来ており、その立場を利用して検案にも絡んだのだろう。(p109)→吾妻の馴れ馴れしい呼び方は学生時代の序列から来ているもので、その立場を利用し検案にも絡んだのだろう。

【文庫→四六判】「首の切断に使われたのは電気工具ではなく、鉈などでもない。(p109)→「電気工具ではないし、鉈で叩き斬ったわけでもない

【文庫→四六判】よく切れる刃物で切れ目を入れ、骨は軟骨部分を選んで切断し、部分的に脱臼させてあった。(p109)→よく切れる刃物で綺麗に切れ目を入れ、骨は軟骨を切り離し、部分的に脱臼させて取ってあった

【文庫→四六判】「じゃあ犯人はどこでそんな技術を学んだんだ」(p109)→「じゃあ犯人はどこでそうした技術を学んだんだ」

【文庫→四六判】「どうやって繰り返す」(p109)→「繰り返す?どうやってさ

【文庫→四六判】「判らん。それより気になることがある。(p109)→「そこまでは判らない。―それより気になることがある。

【文庫→四六判】飛び散った血痕と考え合わせれば、(p109)→飛び散った血を含めて諸々考え合わせれば、

【文庫→四六判】つまり躰に血液が残った状態で犯人は首を切断したわけだ。(p110)→つまり躰に血が残った状態で犯人は首を切断したわけだ。

【文庫→四六判】血液は体温を保って微生物の繁殖を助けるし、それ自体が変質しやすくもある(p110)→―血は屍体の体温を保って微生物の繁殖を助けるし、それ自体が変質しやすくもある

【四六判のみ】ハンターや漁師が獲物を仕留めた時に現地で血抜きをするのは、だからだ」(文庫p110の3行目“変質しやすくもある」”の直後に入る)


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