【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第4回
今回は「第四章」の4回目、引き続き阿比留と吾妻が喋っている場面です。二人の死亡推定時刻についての話をしています。
ほんの少し、死亡推定時刻は初出と違いがあります。
死亡推定時刻の早見表も下記に残しています。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第四章」#4
【文庫→四六判】今朝の会議で報告されていたことだった。(p108)→それも報告書にはあった。
【文庫→四六判】有田智世の死亡推定時刻は午後五時から五時半のあいだ、蛎塚諒一の死亡推定時刻は午後五時半から六時のあいだと見積もられている。(p108)→有田智世の死亡推定時刻は午後五時二十五分プラスマイナス十分程度。一方、蛎塚諒一の方は午後五時五十五分プラスマイナス十分程度。
【死亡推定時刻】
有田智世:17時15分~17時35分の間 → 17時00分~17時30分の間
蛎塚諒一:17時45分~18時05分の間 → 17時30分~18時00分の間
【文庫→四六判】蛎塚諒一のほうが三十分ほど遅く死亡した計算だ。(p108)→蛎塚の方が約三十分遅く殺されている。
※ひとつの伏線として変更されていますね。
【四六判のみ】またこれらの時刻は、有田家隣人の証言―五時頃に誰かが来て、三十分後に帰ったというそれとも矛盾しない。犯人はその時に有田智世を殺したのだろう。(文庫p108の10と11行目の間に入る)
【文庫→四六判】「マンションの玄関ホールにあった防犯カメラの映像から、蛎塚諒一がエレベータに乗り込んだ時間は判っているんだよな」(p108)→「マンションの防犯カメラには、死亡推定時刻前に被害者がエレベータへ乗り込む姿が残っていたって報告だったよな」
【文庫→四六判】吾妻に問われ、阿比留は頷いた。(p108)→阿比留は頷いた。
【文庫→四六判】午後五時四十分ごろの映像に蛎塚諒一は映っており、その二時間二十分後、通報を受けて向かった警官に首を切断された屍体として発見されたのだ。(p108)→午後五時四十頃の映像に蛎塚諒一は映っている。その二時間二十分後、彼は首を切断された屍体として、部屋へ駆けつけた警官に発見されたのだ。
【文庫→四六判】疑いが残る佐藤の証言を無視して考えれば、そうなる。(p108)→疑いが残る佐藤の証言を敢えて無視して言えば、そうなる。
【文庫→四六判】犯人は大体五時半から八時までのあいだに二人を殺し、その首を切断して逃げたことになる。(p108)→犯人は大体二時間から二時間半の間に二人を殺し、その首を切断したことになる。
【四六判のみ】凶器の包丁を洗い、もし服が汚れたらそれを着替える時間まで込みでだ。(文庫p108の最終行の“首を切断して逃げたことになる。”の直後に入る)
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