『遠海事件』「第四章」#11 佐藤の空白の時間

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件　佐藤誠はなぜ首を切断したのか？』（光文社文庫）「第四章」検証第11回

今回は「第四章」11回目、引き続き阿比留と松代の会話です。エレベータの防犯カメラに映っている佐藤誠の行動、首切り含めてベルウッド紫浦とパレス遠海を約四十分で行き来できるかという話題です。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。



【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった（カッコ内は文庫のベージ数です）。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第四章」＃11

【文庫→四六判】一度目は六時五十四分。上りのエレベータを待つ姿だった。二度目は七時十四分。こちらはエレベータから降りてマンションを出ていく姿だ。(p115)→一度目は六時五十四分二十秒前後。上りのエレベータを待つ姿だった。二度目は七時十四分十秒前後。こちらはエレベータから降りマンションを出ていく姿だ。

【文庫→四六判】「二度目の時はうろたえていました。あんな屍体を見れば無理もありませんがね。行きはカメラを意識する素振りがありましたが、帰りは一目散です」(p115)→「二度目の時はうろたえていましたよ。……まあ、あんな屍体を見れば無理もありませんがね。行きはカメラを意識した素振りがありましたが、帰りは一目散です」

【文庫→四六判】言われて見ると、確かに記載されていた。(p116)→一番下の用紙にそれは記載されていた。

【文庫→四六判】七時五十六分となっている。「つまり約四十分間、佐藤は姿を消していたわけか。……有田智世が殺されたアパートまで行って帰ってくることは可能だな」(p116)→七時五十六分。つまり―「約四十分、佐藤誠は姿を消していたわけか。マンションから有田智世が死んでいたアパートまで行って帰ってくることは可能だな」

【文庫→四六判】「あの時間の遠海駅前は渋滞するので、車より歩きの方が速いです。ただ、走っても十分はかかりますよ。(p116)→「あの時間のあの辺りは車より歩きの方が速いですけど、走っても十分は掛かりますよ。

【文庫→四六判】アパートで有田智世の頭部を部屋から出した時間も考えれば―」(p116)→それに、向こうで有田智世の頭部を部屋から出したことを考えれば―」

【文庫→四六判】「……それならなおのことギリギリですよ。(p116)→「……そうなんですか？それならなおのこと、ギリギリですよ。

【文庫→四六判】雨の中をさまよっていたと佐藤は言ってるな」(p116)→雨の中を記憶なくさまよっていたと佐藤誠は証言しているな」

【文庫→四六判】根拠が勘のみで、(p116)→照らすデータがない勘だから、

【文庫→四六判】殺されてから一時間ほどあとに首を切られたようだと」(p116)→殺されてから一時間程間を置いて首を切られているようだと」


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