【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第15回
今回は「第四章」15回目、阿比留と管理人との会話部分から、管理人から円柱状の建物の合鍵を受け取り、ドアを開けたところまでになります。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第四章」#15
【文庫→四六判】「あれを通れば入れます。ただ……」「ただ?」「外からは鍵なしに開かないようになっているんですよ。だから、玄関ホールのカメラに映らずマンションに入るなんてことは、やっぱり無理ですよ」(p120)→「あれを使えば入れます。けれど、外からじゃ鍵なしには開けられませんからね。カメラに映らず中に入るなんてことはやっぱり無理ですよ」
【文庫→四六判】阿比留は管理小屋の中を見た。(p120)→阿比留は管理小屋の中を見回す。
【文庫→四六判】一昨日より物は増えているが、それでも生活臭には足りていない。(p120)→一昨日に比べていくらか物は増えているが、それでも生活臭には足りていない。
【文庫→四六判】壁にかかった藤城清治の影絵付きカレンダーも白々しかった。(p120)→壁にある藤城清治の影絵付きカレンダーもどこか白々しかった。
【文庫→四六判】いえそんなと管理人は否定し、(p120)→いえいえそんなと管理人は否定し、
【文庫→四六判】「鍵だけ貸してもらえたら勝手にやりますが―」(p121)→「鍵だけいただければ勝手にやりますが」
【文庫→四六判】管理人は愛想を浮かべ、助かりますと言って鍵を差し出した。(p121)→管理人は愛想を浮かべ、そうして貰えれば助かりますと束から一本取り外した。
【文庫→四六判】ICチップが埋めてある防犯性の高い代物だ。(p121)→鍵は、立体的な溝にICチップが埋めてある防犯性の高い代物だった。
【文庫→四六判】合鍵もメーカーでしか作れない登録式の製品だが、管理する人間がこうでは、その防犯性も頼りないだろう。(p121)→合鍵もメーカーでしか作れない登録式の製品だ。
【文庫→四六判】阿比留と松代は駐車場から裏手へ回り、非常階段が入っているという建物の前に立った。(p121)→阿比留と松代はそれを持って駐車場の方から裏手へ回り込み、非常倉庫の脇を抜けてそのドアの前に立った。
【文庫→四六判】解錠してドアを開けてみる。中は真っ暗だった。窓がないせいだった。(p121)→見上げても塔に窓はない。鍵でドアを開けると、中には闇が充満していた。
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