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2020年7月8日水曜日

『遠海事件』「第四章」#6 不自然な死斑

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第6回



今回は「第四章」6回目、引き続き阿比留と吾妻の会話部分です。

首切りに不自然なところがあったことを話しています。
血液量が少ないこと、死斑の現れ方が変だったことです。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。



【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第四章」#6


【文庫→四六判】「結論を言え」(p110)→「法医学はそっちに任せる。結論を言え」

【文庫→四六判】首切断の現場は、ともにアパートのキッチンでまず間違いない。(p110)→頸部切断の現場は、共にアパートのキッチンでまず間違いない。

【文庫→四六判】床へ流れた血液の量が少なすぎる」(p110)→床へ流れた血の量が少ないんだよ

【文庫のみ】それでも血液は即座に固まるわけじゃない。重力に従い、体内でも低いところへと移動しようとする」阿比留は頷いた。刑事にとり常識でもある。その結果、体表面に死斑が現れるのだ。(p110)

【文庫→四六判】「当然太い血管―頸動脈などが切断されていれば、屍体であっても血液は少しずつ流れ出す。(p110)→それでも頸部が切断されていれば血は徐々に流れるもんだ

【文庫→四六判】もちろん、首を切断された屍体から流れ出す血液、その経過時間ごとの変動量なんてデータはない。(p110)→勿論、首を切断された屍体における経過時間ごとの血液流出量なんてデータはない。

【文庫→四六判】被害者のひとりは子供だ。(p110)→子供のものとなれば尚更だ

【文庫→四六判】出血量が少ないというのは印象でしかない。(p110)→流れた血が少ないというのは印象になる

【文庫→四六判】「いや小さかったんだが一度、相応のサイズとして出てから消えた形跡があった。(p111)→「いや小さかった。小さかったが一旦普通のサイズとして出てから消えたような形跡があった。

【文庫のみ】普通なら、死後しばらくしてから姿勢を変えられた可能性を疑うところだ」「つまり、被害者は殺されたあとで現場からどこかへ運ばれ、また現場に戻されたってのか」「いや違う。そんなことをする時間はないだろう」「まあ、ないな」(p111)

【文庫→四六判】「あくまで殺しと首切断は現場で行われたとすると、組める仮説がひとつある」(p111)→殺しと首切断があそこで行われたなら、組める仮説が一つあるんだよ
※もともと四六判では、ふたつ上の修正箇所の“消えたような形跡があった。”に続いていました。

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ご覧いただきありがとうございました。

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