【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第四章」検証第6回
今回は「第四章」6回目、引き続き阿比留と吾妻の会話部分です。
首切りに不自然なところがあったことを話しています。
血液量が少ないこと、死斑の現れ方が変だったことです。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第四章」#6
【文庫→四六判】「結論を言え」(p110)→「法医学はそっちに任せる。結論を言え」
【文庫→四六判】首切断の現場は、ともにアパートのキッチンでまず間違いない。(p110)→頸部切断の現場は、共にアパートのキッチンでまず間違いない。
【文庫→四六判】床へ流れた血液の量が少なすぎる」(p110)→床へ流れた血の量が少ないんだよ」
【文庫のみ】それでも血液は即座に固まるわけじゃない。重力に従い、体内でも低いところへと移動しようとする」阿比留は頷いた。刑事にとり常識でもある。その結果、体表面に死斑が現れるのだ。(p110)
【文庫→四六判】「当然太い血管―頸動脈などが切断されていれば、屍体であっても血液は少しずつ流れ出す。(p110)→それでも頸部が切断されていれば血は徐々に流れるもんだ。
【文庫→四六判】もちろん、首を切断された屍体から流れ出す血液、その経過時間ごとの変動量なんてデータはない。(p110)→勿論、首を切断された屍体における経過時間ごとの血液流出量なんてデータはない。
【文庫→四六判】被害者のひとりは子供だ。(p110)→子供のものとなれば尚更だ。
【文庫→四六判】出血量が少ないというのは印象でしかない。(p110)→流れた血が少ないというのは印象になる。
【文庫→四六判】「いや小さかったんだが、一度、相応のサイズとして出てから消えた形跡があった。(p111)→「いや小さかった。小さかったが、一旦普通のサイズとして出てから消えたような形跡があった。
【文庫のみ】普通なら、死後しばらくしてから姿勢を変えられた可能性を疑うところだ」「つまり、被害者は殺されたあとで現場からどこかへ運ばれ、また現場に戻されたってのか」「いや違う。そんなことをする時間はないだろう」「まあ、ないな」(p111)
【文庫→四六判】「あくまで殺しと首切断は現場で行われたとすると、組める仮説がひとつある」(p111)→殺しと首切断があそこで行われたなら、組める仮説が一つあるんだよ」
※もともと四六判では、ふたつ上の修正箇所の“消えたような形跡があった。”に続いていました。
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