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2020年7月27日月曜日

『遠海事件』「第五章」#2 正義の境界線

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第五章」検証第2回



今回は「第五章」2回目、引き続き佐藤と新村の電車内での会話です。
新村が佐藤のことを信じて疑わなこと、佐藤誠が昔刑事になりたかったこと、高校時代に刑事の仕事を近くで見る機会があったことなどを話しています。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。


【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第五章」#2

【文庫→四六判】「事件を考えてみるなんてことがさ。そんなの警察に任せておけばいいんだ」「どうかな。警察も頼りにならなそうだ。お前を疑うくらバカなんだから」(p135)→「……事件を考えてみるなんてことがさ。そんなのは警察に任せておけばいいんだ」「どうかな。警察もあんまり頼りにならなそうだ。お前を疑うくらい馬鹿なんだから」

【文庫→四六判】佐藤は閉まったドアの窓に乾いた笑いをぶつけ、(p136)→佐藤は閉まったドアの硝子へ乾いた笑いをぶつけ、

【文庫→四六判】むしろ当日に疑わなかったことが気遣いだろ」(p136)→むしろ、当日にアリバイを訊かなかったことが気遣いだろ」

【文庫→四六判】僕が蛎塚専務を殺したのかもとか少しも考えてないみたいじゃないか」(p136)→僕が蛎塚専務を殺したのかもって、少しも考えてないみたいじゃないか」

【文庫→四六判】ははっと新村は笑った。佐藤は笑わなかった。笑いをそっと収めて新村は言った。(p136)→ははっと新村は笑った。だが佐藤は笑わなかった。笑いをそっと収め、新村は言った。

【文庫→四六判】「専務はお前の恩人だろ」(p136)→「お前が誰かを殺すなんて考えられない。大体、専務はお前の恩人だろ」

【文庫→四六判】「まあね。でも警察は恩があるってことも繋がりのひとつと数えるし、(p136)→「まあね。……でも新村、警察は恩があるってことも繋がりの一つと数えるし、

【文庫→四六判】結構長いこと、そうだなあ、高校生の時も将来は警察官になりたいなあって考えるくらいには、夢だったんだよ」(p137)→結構長い間、そうだなあ、高校生の時もぼんやりと将来は警察官になるだろうなあって考えてたくらいには、夢だったんだよ」

【文庫→四六判】掌を眺め、そういうんじゃなくと続けた。(p137)→両掌を眺め、そういうんじゃなくてと続けた。

【文庫→四六判】まあ大きく言えば正義かなあ。(p137)→まあ、大きく言えば正義かなあ。

【文庫→四六判】「高校の時にね、ちょっと近くで刑事の仕事を見る機会があったんだけど、僕が思ってたようなことはないんだって判っちゃってさ」(p137)→「高校の時にね、ちょっとつまんない事件があって、その時に近くで刑事の仕事を見る機会があったんだけど、僕が思ってたようなことはないんだって判っちゃって。だからさ
※このつまんない事件は、初めての殺人の時のことを言ってるのでしょうか、被害者は高校の同級生で。
遠海事件までは疑われたことがないと佐藤誠は言っていました。同級生を完璧に隠蔽して殺害したので失踪したとなり、刑事が遠海西高校に来た時に近くで見たのではないか、と勝手に想像しています。


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ご覧いただきありがとうございました。

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