【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「遠海事件」検証第17回
今回は「第四章」17回目、松代は遠海署に戻ってもう一度防犯ビデオを当たりに、阿比留は蛎塚諒一の通夜会場に到着したところまでです。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第四章」#17
【文庫→四六判】勘などそうあてになるものではないと判ってもいる。だが無視はできない。(p123)→勘などそうあてになるものではないと知っているが、無視は出来ない。
【文庫→四六判】蛎塚諒一の通夜は駅から数キロのところにある斎場で夕方からと聞いていた。―よし。(p123)→蛎塚諒一の通夜は駅から数キロの斎場で夕方からと聞いていた。余裕はそうない。―よし。
【文庫→四六判】「松代、お前は署に行ってビデオを当たれ。俺は佐藤に会う」(p123)→「松代、お前は署に戻ってビデオを当たれ。俺は佐藤誠に会う」
【文庫→四六判】市街地から離れた丘のたもとにある斎場は、(p123)→市街地から離れた丘のたもとへ隠れるようにしてあるその小振りな斎場は今、
※次回のブログで、この丘についての考えを書きます。
【文庫→四六判】弔問客の多さが、死者の役職が伊達でないことを証している。(p123)→弔問客の多さが、たとえ中小企業であっても専務の肩書きが伊達でないことを証している。
【文庫→四六判】阿比留は受付で佐藤がまだ来ていないことを確認すると、斎場の入口で待ちながら場を見渡した。(p123-124)→阿比留は受付で記帳し、佐藤誠がまだ来ていないことを確認すると、斎場の入口で待ちながら場の空気を見渡した。
【文庫→四六判】そうするには彼はくたびれすぎていた。(p124)→そうするには、刑事として彼はくたびれすぎていた。
【文庫→四六判】唯一、犯罪への怒りだけが二十年前と変わらず残っている。それだけでやってきたと言っても過言ではないほどに。(p124)→だが犯人への怒りなら、二十代の頃から変わらず残っている。それだけでやってきたと言っても過言ではないくらいに。
※文庫p123の1行目に“二十年以上の刑事経験から、”とあるので、阿比留は1986年以前から刑事をやっていることになります。阿比留は四十代ですが、半ばあたりでしょうか。
【文庫→四六判】理屈で考えるべきではないと阿比留は思う。事実を拾い集める鑑識の吾妻が状況のおかしさを指摘した時、(p124)→理屈で考えるべきものではない。そう阿比留は思う。事実のみを拾い集める鑑識の吾妻が状況のおかしさを指摘した時、
【文庫→四六判】そこに意味がないなら考えるだけ無駄だし、意味があったとしても犯人の中でしか通用しないものなら同じだ。(p124)→そこに意味がないのなら考えるだけ無駄だし、意味があったとしても、それが犯人の中でしか通用しないものなら同じだ。
【文庫→四六判】捕まえてから聞き出して調書で辻褄を合わせればいいだけのこと。(p124)→捕まえてから聞き出し、調書で辻褄を合わせればいいだけのこと。
【文庫→四六判】深く考えたりすると嵌る。(p124)→深く考えたりすると嵌ってしまう。
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ご覧いただきありがとうございました。
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