【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第三章」検証第12回
今回は「第三章」のラストまでになります。佐藤誠が遠海事件のことを繰り返し吟味しているところから、新村から着信があり、その後蛎塚専務のことを考えている場面になります。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第三章」#12
【文庫→四六判】それこそ彼を社会と世間に繋ぎ止めてきた根本の現実主義だった。(p98)→それこそ、彼を繋ぎ止める根本の現実主義だった。
【文庫→四六判】過去を変えるような無理は歪みを残す。(p98)→過去はやりようによって変えられるが、そうした無理は歪みを残す。
【文庫→四六判】佐藤はそんなことを考える自分に戸惑っていた。(p98)→佐藤はそんなことを考えている自分に戸惑っていた。
【文庫→四六判】意味のないことに時間を割く余裕はないと考えても、(p98)→意味のないことに時間を割く余裕はないと繰り返しても、
【文庫→四六判】しばらくして携帯に着信があった。(p98)→しばらくし、携帯に再び着信があった。
【文庫→四六判】そうした計算もあったが、まずひとりでいると浮かぶ問いから逃げたかった。(p98)→そうした計算もあるにはあったが、何より、一人でいると浮かぶ問いから逃げたかった。
【文庫→四六判】何かを忘れる最もいい方法は直視しないことに尽きる。(p99)→何かを忘れる最もいい方法は直視しないことに尽きるだろうと。
【文庫→四六判】「何度でも言うが、無理はすんなよ」(p99)→「……なんべんでも言うが、無理はすんなよ」
【文庫→四六判】同僚の気遣いが連れてきたか、納得がひとつ降りてきた。(p99)→同僚の気遣いが連れてきたのだろうか、納得が一つ降りてきた。
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