【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第8回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第二章」8回目、阿比留がパレス遠海の管理人と話をしている場面です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第二章」#8
【文庫→四六判】離れて通話に出る松代を待たず、阿比留は管理人が住んでいるというマンション一階の部屋へ向かった。(p52)→離れて出る部下を放り、阿比留は管理人が住むというマンション一階の部屋へ向かった。【文庫→四六判】身分証を提示する間もなく中へ通された。(p52)→身分証を提示する間もなく阿比留は中へ通された。
【文庫→四六判】二人は人畜無害という風体で、(p52)→二人は見るからに人畜無害という風体で、
【文庫→四六判】管理小屋に生活臭がなかったことを思い出しつつ、(p53)→管理小屋に生活臭がなかったことを思い出し、
【文庫→四六判】「あそこはいつも無人なんですか」(p53)→「管理小屋には、いつも誰もいないんですか」
【四六判のみ】「……午前中は、いましたよ」「いつもそうなんですか」(文庫p53の4と5行目の間に入る)
※午前中は管理小屋に居たんですね。調べるまで見落としていました。作品時系列一覧にも追加しました。2006年年6月28日の部分です。
【文庫→四六判】諦めて阿比留が腰を上げた時、管理人はもう一度愛想を浮かべた。(p54)→諦めて阿比留が腰を上げた時、えへへと管理人は愛想を浮かべた。
【文庫→四六判】「管理会社のほうには穏便に説明してもらえませんでしょうか」(p54)→「管理会社の方には、何とか穏便に説明して貰えませんでしょうか」
【文庫→四六判】阿比留は刑事さんと呼びかけられた。振り返ると、管理人が近寄ってきて封筒を差し出し、お忘れですよと言う。(p54)→阿比留は呼び止められた。立ち止まって振り返ると、管理人が小走りに近寄ってきて封筒を差し出し、お忘れですよと言う。
【文庫→四六判】相手が消えてから中を覗くと(p54)→受け取り、相手が消えたのを見計らって覗いてみると、
【文庫→四六判】まあ奮発したほうだろう。(p54)→仕事を考えれば奮発した方だろう。
【文庫→四六判】「ここにいましたか」(p54)→「どこにいたんですか」
※阿比留と松代の上下関係がはっきり判りますね。
【文庫→四六判】「管理人は何も見てないそうだ。(p54)→「管理人に会ってきた。何も見てないそうだ。
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ご覧いただきありがとうございました。
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