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2020年6月15日月曜日

『遠海事件』「第二章」#15 雨上がりの海岸公園

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第15回



詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。

『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。

今回の検証は「第二章」15回目、佐藤誠が海岸公園へ到着し、ナイフを捨てる直前までの場面になります。情が移っているので、おそらくこの大振りのナイフで数々の殺人を行ってきたのではないでしょうか。コラム②にも出てきますが、なるべく一本のナイフで済まそうとしていたとありますし。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。


【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第二章」#15

【文庫→四六判】雨上がりの海岸公園へと続く道路に人気はない。(p66)→雨上がりの海岸公園へ続く道路に人気はない。

【文庫→四六判】平日深夜は家で大人しくしているのだろう。(p66)→平日の深夜は家で大人しくしているのだろう。

【文庫→四六判】一台のワンボックスカーが湾へ突き出た突堤のたもとでサスペンションを揺らしているのに行き合ったが、(p66)→一台のワンボックスカーが湾へ突き出た突堤のたもとでゆさゆさとサスペンションを揺らしているのに行き合ったが、

【文庫→四六判】公園の舗装道を通り抜けて進んでゆくと、国道を根城にする暴走族すらやってこない一画が現れる。(p66)→公園の舗装道を通り抜けてその向こう側へと突き抜ければ、国道を根城にする暴走族すらやってこない、見通しの悪い一画が現れる
※国道が近くに走り、公園を通り抜けた先に海があるんですね。ここが遠海市なのかは定かではありませんが、遠海市周辺の地理を知る上で重要になるかもしれませんね。

【文庫→四六判】異様に高く作られた防波堤が海を隠し、その前に不法廃棄された乗用車がずらりと並んでいた。(p66)→異様に高く作られた防波堤が海を完全に隠し、その前には不法廃棄された乗用車がずらりと並んでいた。

【文庫→四六判】普段はそれらの部品目当ての若者やリアカーを引いたホームレスがうろつくそこも、(p66)→普段はそれらの部品目当ての若者やリヤカーを引いたホームレスがうろついているそこも

【文庫→四六判】佐藤は腋の下に吊っていた大振りのナイフを鞘ごと掴んで取り出した。(p66)→佐藤は脇の下に吊っていた大振りのナイフを取り出した

【文庫→四六判】微かに届く街灯の光に抜いた刃を照らし、少し迷う。(p67)→微かに届く街灯の光に刃を照らし、少し迷う。

【文庫→四六判】よく使いよく研いだナイフに情を移さない使い手などいるだろうか。(p67)→未練がないわけではない。一体、よく使いよく研いだナイフへ情を移さない使い手などいるだろうか。


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