【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第三章」検証第9回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第三章」9回目、時野と水谷の会話の終わり部分と、時野が考える佐藤誠について述べている部分から第2チャプターの最終までです。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第三章」#9
【文庫→四六判】そんなことをしそうな人間に罪を被せようとしてとか、(p88)→そんなことをしそうな人間へ罪を被せようとしてとか、
【文庫→四六判】それでもと時野は続けた。(p89)→それでも、とも思った。
【文庫→四六判】「二人が殺されているんだ。(p89)→「二人が殺されて首を切られてるんだ。
【文庫→四六判】したり顔の彼に水谷も頷いた。(p89)→したり顔の彼へ水谷も頷いた。
【文庫→四六判】どうしたと尋うると、あのさと彼女は俯いて尋ねた。(p89)→「―こういう話、退屈じゃない?」別にと応え、俯き、あのさと彼女は呟いた。
【文庫→四六判】そのままバイトを辞めてしまった作家志望者のことが浮かんでいた。(p90)→なし崩しにブックセルを辞めてしまった作家志望者のことが浮かんでいた。
【文庫→四六判】水谷が本当に知りたかったのは事件の謎などではなかったのだなと気が付いた。(p91)→水谷が本当に知りたかったのは、事件の謎などではないということに気が付いた。
【文庫→四六判】ぼんやりとした理解不能を彼女の評価に付け足すことにした。それから佐藤のことを考えた。(p91)→ぼんやりとした理解不能を彼女の評価へ付け加える。
【文庫→四六判】彼の中でその店長は、脂っけもなければ存在感も薄い、(p91)→時野の中で佐藤は、油っけもなければ存在感も薄い、
【文庫→四六判】そういう点では尊敬できる大人であるのだけれど、同じ人間かというと首を傾げたくなってしまう。(p91)→そういう点では尊敬できる大人の一人であるのだけれど、同じ人間かというと首を傾げてしまう。
【文庫→四六判】何度か話題にもしているその名前の薄さが(p91)→何度か話題にもしているその名の薄さが
【文庫→四六判】次にタイムカードを押すまで思い出すこともない存在なのだ。(p91)→次にタイムカードを押すまで思い出すこともまずない存在だ。
【文庫→四六判】そういうものかと頷く反面、(p91)→そんなものかと頷く反面、
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ご覧いただきありがとうございました。
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