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2020年6月17日水曜日

『遠海事件』「コラム② 佐藤誠 その技術と遠海事件」#1

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「コラム② 佐藤誠 その技術と遠海事件」検証第1回



詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。

『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作になるかと思います。主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。

今回は「コラム② 佐藤誠 その技術と遠海事件」検証第1回目、コラムの前半部分になります。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。



・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「コラム② 佐藤誠 その技術と遠海事件」#1


【文庫→四六判】佐藤誠は、屍体のほぼすべてを自ら解体したと述べている。(p69)→後の自白で、佐藤誠は屍体のほぼ全てを自ら解体したと述べている。

【文庫→四六判】作業の大半を一振りのナイフで済ませている。(p69)→作業の大半を彼は一振りのナイフで済ませている。

【文庫→四六判】だが、こうした点をあげつらい、殺人の才能という言葉で収まりをつける始末が世に溢れている現状は憂えざるを得ない。(p69)→しかしながら、こうした点をあげつらって殺人鬼の才能という言葉で収まりをつける始末が世に溢れている現状は、筆者として憂えざるを得ない

【文庫→四六判】多くの道具を持ち運ぶことは実際的でなく、(p69)→殺人を隠蔽する為に多くの道具を持ち運ぶことは実際的でなく、

【文庫→四六判】そうした必要に応じて練習を重ねて身に付けた技術にすぎない。(p69)→そうした必要に応じて練習を重ね身に付けた技術に過ぎない

【文庫→四六判】彼が使用したナイフは、しかし現物が一切残っていない。そのため佐藤の証言を信じるしかないが、(p69-70)→彼がその始末に使用したナイフに関しては現物が一切残っていない為、その証言を信じるしかないが、
※『日入国常闇碑伝』の炎吹刀とも関連があるのでしょうか。詳しくは過去のブログをご覧ください。

【四六判のみ】むろん頻繁な研ぎを挟みながらの作業となるが、(文庫p70の3行目“羆の解体に使われるものであり、”の直後に入る)

【文庫→四六判】佐藤誠の犯罪も、技術と道具が合わさってようやく為せるものだった。(p70)→佐藤誠の殺人も技術と道具が合わさってようやく為せるものだった。

【文庫→四六判】才能が入り込む余地は思われているほどない。(p70)→そこへ才能が入り込む余地は、思われている程にはない

【文庫→四六判】そのことを踏まえてなお、遠海事件は佐藤誠の犯罪の中でも特異なものと言える。(p70)→そのことを踏まえて事実を説明すれば、遠海事件は佐藤誠にとっても印象深いものであったと言えるだろう

【文庫→四六判】理由は色々あげられるが、(p70)→理由は色々あるが


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