【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第16回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第二章」、16回目で本編最終回の検証です。
佐藤誠が大振りのナイフを捨て、自宅へ帰るまでの場面になります。個人的に車の屋根にあがって情の移ったナイフを投げるこの前後のシーンが好きです。
佐藤誠の乗っている自転車についても触れており、詠坂雄二全作品の時系列表の追加もあります。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第二章」#16
【文庫→四六判】二人の首を切断したそれはほんの二時間前、彼の手で研ぎ直されていた。(p67)→二人の首を切断したそれはほんの二時間前、彼自身の手で研ぎ直されていた。【文庫→四六判】意味のないことを嫌う佐藤には珍しい行いだった。(p67)→意味のないことを嫌う佐藤には珍しい行いだ。
【文庫→四六判】だが結局頷き、彼は防波堤の向こうへナイフを放り投げた。(p67)→頷き、彼は防波堤の向こうへナイフを放り投げた。
【文庫→四六判】自動車の屋根から降りて佐藤は自転車に跨った。(p67)→地上へ降り、佐藤は自転車に跨った。
【文庫→四六判】腕時計を見ると午前一時半すぎ。(p67)→そして腕時計を見る。午前一時半過ぎ。
【文庫→四六判】アパートまでは三十キロ程あるが、深夜で道は空いている。三時までには帰れるだろう。(p67)→深夜で道は空いている。三時までには帰れるだろう。
※防波堤を発ったのが一時半過ぎ、三時には帰宅できるとのことなので、ナイフを捨てにアパートを出たのは、午前0時頃だと考えられます。詠坂雄二全作品時系列表にも追加しておきました。
※佐藤誠の乗っている自転車はママチャリかマウンテンバイクどちらでしょうか。約三十キロを一時間少しで帰るとなると、相当スピードを出さないと無理な数字です。マウンテンバイクで最高時速25kmほどのようです(ネットで調べました)。よってママチャリではない気がします。雰囲気的にママチャリ乗ってそうなイメージですが。
【文庫→四六判】事故に遭わないことのほうがはるかに重要だ。(p67)→事故に遭わないことの方が遥かに重要だ。
【文庫→四六判】その時は行き先をコンビニにでも変更すればいいと思い出てきたのだが、(p67)→その時はコンビニへ目的を変更すればいいと思い出てきたのだが、
【四六判のみ】家に帰って。(文庫p68の5行目“些細なことから”の直前に入る)
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ご覧いただきありがとうございました。
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