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2020年6月4日木曜日

『遠海事件』「第二章」#4 蛎塚専務

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第4回


詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。

『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。

今回は「第二章」第4回目、阿比留と佐藤誠の対面直前です。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。


・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第二章」#4


【文庫→四六判】頭部はキッチンのシンクの中に転がっていた。(p45)→頭部は無造作にキッチンのシンクへ転がっていた。

【文庫→四六判】阿比留は頭部を持ち上げてみた。瞼は閉じている。(p45-46)→阿比留は頭部を持ち上げ、正面から見据えた。相手は瞼を閉じている。

【文庫→四六判】五十歳前後というところか。(p46)→五十歳前後といったところか

【文庫→四六判】切断面は綺麗で、よく切れる刃物の仕事だと思われる。(p46)→切断面は綺麗なものだった。よく切れる刃物の仕事だろう

【文庫→四六判】阿比留は頭部を持ったままソファの胴体へ近付き、(p46)→阿比留は頭部を手に血痕を避けつつ胴体へ近付き、

【四六判のみ】屍体に向かい、刃は右から入って左へ抜けているようだ。(文庫p46の7と8行目の間に入る)

【文庫→四六判】「ええ。ひとち暮らしで、名前は蛎塚諒一―書店に勤務していたそうです。見つけたのは被害者の部下で、佐藤誠と名乗っていますが、取り乱していて」(p46)→「発見者はそう言っています。蛎塚諒一―書店へ勤務しており、独り者だそうで。見付けたのは被害者の部下で佐藤誠と名乗っています」「不審な点でもあるのか」「いえ。ただ、取り乱しているので―

【文庫→四六判】「そろそろできるかもしれません」(p46)→「自分の見立てでは、そろそろ出来ると思いますが」

【文庫→四六判】発見者が一階玄関の隣に別建ての管理小屋にいることを聞き出し、(p46)→阿比留は目撃者が一階玄関脇に別建ての管理小屋にいることを聞き出し、

【文庫→四六判】阿比留はほかの部屋とユニットバスを覗き、綺麗なのを確認してから八〇二号室を出た。(p46)→他の部屋とユニットバスを覗いて、そこが綺麗なままなのを確認してから八〇二号室を出た。


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ご覧いただきありがとうございました。


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