【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第5回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第二章」阿比留と佐藤誠が対面した場面です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第二章」#5
【文庫→四六判】「どうだかな。切り口は手慣れた感じだが」(p47)→「どうだかな。首切りは手慣れた感じだが」
※この直前松代が“むかつきますよ”と言っています。松代の過去の出来事が関係しているのでしょうか。『リロ・グラ・シスタ』の半年前になります。
【文庫→四六判】一階に到着した阿比留と松代は雨中を駆け、管理小屋へ制服警官の敬礼を躱して飛び込んだ。(p47)→一階へ到着し、阿比留と松代は雨に覆われた世界を駆け、玄関脇にある管理小屋へ制服警官の敬礼を躱して飛び込んだ。
【文庫→四六判】硝子戸からマンション入口が監視できる位置にある管理小屋は二部屋からなり、(p47)→硝子戸からマンションの入口が直接監視出来るようになっているそこは二部屋構造で、
【文庫→四六判】奥の部屋にものは少なかったが、辛うじて防犯カメラの映像を映すモニターと、それを録画しているらしい機材があった。(p47)→奥の部屋もがらんとしていたが、隅には防犯カメラの映像を映すモニターとそれを録画する機材が置かれている。
【文庫→四六判】その窓際に、(p47)→その窓際へ置かれた椅子に、
【文庫→四六判】阿比留と松代が入っていくと、彼は虚ろな視線を向けてきて、(p47)→びしょ濡れの彼は部屋へ入ってきた刑事二人へ虚ろな視線を投げ、
【文庫のみ】阿比留は素早く言った。(文庫p47の8行目の後に入る)
【文庫→四六判】「けほ……どうも」(p47)
【文庫→四六判】「佐藤さんですね。県警の阿比留です。このたびはとんだことで。(p47)→「県警の阿比留です。この度はとんだことで。―佐藤誠さんですね。
【文庫→四六判】ごしごしと頭をこすったタオルを首にかけ直した。(p47)→ごしごしと頭を擦ったタオルを首に掛ける。
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ご覧いただきありがとうございました。
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