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2020年6月14日日曜日

『遠海事件』「第二章」#14 刑事の道しるべ

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第14回


詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。

『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。

今回は「第二章」14回目、阿比留と松代がベルウッド紫浦の残りの住人に聞き込みを行っている場面です。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。


【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「第二章」#14


【文庫→四六判】「あんな小さな子がひとりで部屋にいたところを殺したとして、親が一晩中帰ってこないなんて考えますかね」(p63)→「あんな小さな子が一人で部屋にいたとして、親が一晩中帰ってこないなんて考えますかね」

【文庫→四六判】「ああ。で?」(p63)→「ああ。―それで?

【文庫→四六判】携帯が鳴り出した。(p63)→その時、携帯が鳴った。

【文庫→四六判】その様子で見当が付いたらしく、松代は離れていった。聞いていたくないのだろう。(p63)→見当が付いたらしく、松代は部屋の奥へ向かった

【文庫→四六判】本部の捜査一課長だ。(p64)→本部の刑事一課長だ。

【文庫→四六判】阿比留は間を置いた。考えたのは事件の状況についてではなく、(p64)→間を置いた。考えたのは事件についてではなく、

【文庫→四六判】「だがこれで捜査本部は増員だ。いくらか楽もできる」(p64)→若く吐き捨てる彼へ鼻を鳴らし、だがと阿比留は言う。「これで楽が出来る。頭のおかしい奴がやってんのなら、人手はあるに越したことはねぇ」

【文庫→四六判】母親に話題が及ぶと揃って喋りを鈍くした。(p65)→母親の方に問いが及ぶと、途端に喋りは鈍くなった

【文庫→四六判】県警に戻る車内で阿比留は考え続けた。(p65)→県警へ戻るパトカーの車内で、阿比留はじっと考え続けた

【文庫→四六判】どんなものであれ犯人が為したと確信できることはそのまま道標になるからだ。(p65)→どんなものであれ犯人が為したと確信出来る出来事は刑事にとってそのまま道標だ

【文庫→四六判】策士策に溺れる。首切りなどという常軌を逸した行いならなおさらに。(p65)→策士策に溺れる。それが首切りなどという常軌を逸した行いならば、尚更に


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