【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第三章」検証第3回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第三章」3回目で、阿比留と新村の会話の後半部分です。佐藤誠のブックセル入社時のことを書かれていた部分も変更されていました。佐藤誠の住んでいた所も考えてみました。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第三章」#3
【文庫→四六判】見たところ新村さんは彼とそう歳が変わらないようですが」(p77)→―見たところ、新村さんは彼とそう歳が変わらないように見えますが」
【文庫→四六判】「社員になったのも専務の裁量でと聞いています。元々専務が見ていた店舗でバイトしていたんですよ」(p77)→「元々、社員になったのも専務の裁量でと聞いています。確か去年の頭まで、専務が見ていた店舗でバイトしていたんですよ」
※佐藤誠は去年の1月にブックセルに入社したので、入社時は東遠海店でない別店舗で勤務していたということでしょう。アルバイトなので、佐藤誠の自宅近くの店舗なのかもしれません。
佐藤誠がどこに住んでいるのかの明記はありませんが、県立遠海西高校に通っていたので、遠海市だと思われます。学区編成は当時は今と比べて狭いでしょうし。
【文庫→四六判】「確執などはあったようですか」(p77)→「確執などはあったようですか?」
【文庫→四六判】「なんでもひととおり尋ねるのが仕事なもので。気に障ったのなら勘弁を」(p77)→「いえいえ。何でも一通り尋ねてみるというのが我々の仕事なもので。気に障ったら勘弁を」
【文庫→四六判】もちろん言葉どおりには受け取れなかった。(p77)→勿論、新村は言葉通りに受け取らなかった。
【文庫→四六判】問いは我慢できそうにない。(p77)→溜まった怒りは我慢出来そうにない。
【文庫→四六判】「朝刊には、被害者は二人と書いてありました。(p77)→「朝刊には、被害者は二人と書いてありましたよ。
【文庫→四六判】「関係はありました。(p78)→「関係はあったんですよ。
【文庫→四六判】新村は驚き、ふと気付いた。(p78)→新村は素直に驚き、ふと気付く。
【文庫→四六判】刑事が去ってからしばらく新村は考えたが、やはり問いの意味は判らなかった。(p78)→刑事が去ってから、しばらく新村は考えてみた。だが、思う程に質問の意味は判らない。
【文庫→四六判】屍体の発見者はとりあえず頭から疑うのがセオリーなのか、それともあいつの言動におかしな点があったのか。(p78)→屍体の発見者は問答無用に疑うのがセオリーなのか、あるいはあいつの言動におかしな点があったのか。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿