【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第二章」検証第11回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第二章」11回目、太った隣人への聞き込みの場面後半になります。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第二章」#11
【文庫→四六判】「いえ。家にいたなら(p58)→「家にいたのなら、
【文庫→四六判】そうですねと太った隣人は唸り、そういえばと続ける。(p58)→そうすねと太った隣人は唸り、でもと俯く。
【四六判のみ】特におかしな時間に音がしなければ、一々気にしませんからね。(文庫p58の11行目“確か、”の前に入る)
【文庫→四六判】確か、夕方の四時ごろに音がしたかなあ。(p58)→……でも、夕方の四時頃に音がしたかなあ。
【文庫→四六判】三回か四回くらい。(p59)→多分、三回か四回くらい。
【文庫→四六判】五時ごろに誰かが来て、(p59)→五時くらいに誰かが来て、
【文庫→四六判】それからスバゲティ茹でてた時だから、七時半ごろもう一回―そう、その時は駆け足が聞こえてきたんですよね」(p59)→それから七時半頃、スパゲティ茹でてた時もう一回―そう、その時は、駆け足が聞こえてきたんですよね。そうだそうだ」
【文庫→四六判】「はい。それが有田さんちの前で止まって、ドアの開く音がしたんです。(p59)→「そう。それが有田さんちの前で止まって、玄関の開く音がしたんです。
【文庫→四六判】部屋には五分もいなかったんじゃないかな。やっぱり忘れ物だったんだなって(p59)→五分もいなかったんじゃないかな。ああやっぱり忘れ物だったんだなって
【文庫→四六判】隣人が聞いた四回の開閉音のうち、あとの二回の時にやってきた誰かによって有田智世の頭部は通路へ出され、それから九時までの約一時間半のあいだ、誰にも見つけられずにいたと考えるべきか。(p60)→隣人が聞いた四回の開閉音。その後の二回の時に有田智世の頭部は通路へ出され、九時までの約一時間半の間、誰にも見付けられずにいたのだろう。
【文庫→四六判】アパートを貫く通路は外からは完全に隠れている。そのせいで、発見が遅れてしまったのだ。(p60)→通路はアパートを貫いている。外からは完全に隠れているし、郵便受けを覗きに住人が出る時間でもない。帰宅する者がいなければ発見されることもない。
【文庫→四六判】七時半以前に有田智世は殺され、すでに首を切断されていたと考えられる。(p60)→七時半以前に有田智世は殺されて、首を切断されていたと考えられる。
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