【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「英雄蠅」検証第11回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「英雄蠅」検証第11回目です。
今回は、光介と闇佐が群青武者と対面する直前から相対した直後までになります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「英雄蠅」#11
【新書→雑誌】・葬儀を経てなお変わらず尊敬する相手である。(p179上)→葬儀を経てなお、否これより先も変わらず尊敬してゆく相手である。
※個人的には雑誌の表現のほうが好きですが、これから先の峰木光介の活躍を考えると、新書のほうが良いのでしょうか。
【新書→雑誌】・歩みを進めると、明らかに輝の違うものが見えてきた。(p179上)→歩みを進めてゆくと、明らかに輝の違うものが現れた。
【新書→雑誌】・もう闇光に頼らずとも判る。とにかく寸法が大きい。人の姿をしてもいる。否、どころかそれは是非もない、群青具足姿であった。(p179上)→闇光が強いことももちろんだが、何より寸法が大きい。あるいは魔物か。そんな疑いも、相手がどうやら人の姿をしていると判り霧散する。どころかそれは是非もない―群青具足であった。
【新書→雑誌】・藍染の色彩までは窺えない。(p179上)→色までは、常闇と闇光のため窺えぬはずである。
【新書→雑誌】・武者の装いは刀冶朗と瓜二つだ。いや―(p179下)→である以上、武者の装いは刀冶朗と瓜二つである。否―
【新書→雑誌】・背には長柄もあるようだった。(p179下)→背中には長柄もあった。
【新書→雑誌】・刀冶朗はひときわ強い闇光を備えていただろう。(p180上)→刀冶朗がひときわ強い闇光を備えていたことに疑いは差し挟めない。
【新書→雑誌】・刀冶朗の屍体が常ならぬ時間動き続けていてもおかしくない算段だ。(p180上)→常ならぬ長い時間、刀冶朗の屍体が歩骸として動き続けていてもおかしくない算段となる。
【雑誌のみ】・外の世界では七日と待たず骨となる歩骸も、ここ常闇では闇光により蠅を追い払うのかも知れぬ。あるいは、未だ知られぬ闇光の奇妙な作用のせいであるのやも。(新書p180上8行目“算段だ。”の後に続く)
【新書→雑誌】・相手は肩を揺らした。笑いの仕草である。それもまた刀冶朗のものであった。(p180下)→相手は応じて肩を揺らした。声を出さず笑う仕草、それもまた刀冶朗が常日頃見せていたものだった。
【新書→雑誌】・「先生、なのですか」「左様と言えばなんとする」(p180下)→「刀冶朗先生―なのですか」「フフ、左様と言えばなんとする」
【新書→雑誌】・群青武者が呟いた。その言葉は峰邑家当主の口癖でもある。(p180下)→群青武者が呟いた言葉は、峰邑家当主の口癖であった。
【新書→雑誌】・おうと応えて武者は胸を叩く。(p181上)→おうよと応えて武者は具足の胸をどんと叩く。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#12へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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