【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』「第一章」検証第7回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は第7回、新村光次の経歴から佐藤誠が新村に相談事を持ちかけるところまでです。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第一章」#7
【文庫→四六判】新村はエスカレーターで上がった私大の文学科を一回の留年で卒業、ブックセルに入社し、今年で三年目である。(p29)→新村は(エスカレーターで上がった)私大の文学部を(一回の留年で)卒業、ブックセルに入社して今年で三年目である。
※一度留年していますが、佐藤と新村は同い年になります(ちなみに柵馬朋康と詠坂雄二も同い年です)。
【文庫→四六判】役が同じでは納得がいかない。(p29)→役が同じでは到底納得がいかない。
【文庫→四六判】ふてくされて直帰しようとしていたところ、佐藤のほうから奢るから飲もうと誘ってきたのだ。(p29-30)→ふてくされて直帰しようとしていた新村へ、佐藤の方から奢りで飲もうと誘ってきたのだ。
【文庫→四六判】応じて痛飲する彼に、けれども佐藤は仕事の話をしたりはしなかった。(p30)→大衆飲み屋なのでたかが知れているが、精々高い酒を選んで痛飲する彼に、けれど佐藤は仕事の話をしたりはしなかった。
【文庫→四六判】そうした気遣いが新村を腐らせていたのだ。(p30)→そうした気遣いがまた新村を腐らせるのだ。
【文庫→四六判】どうしてこいつはこう、当然って感じに他人に気が回せるのかと。(p30)→どうしてこいつはこんなに冷静でいられるのか、当然って感じに他人に気が回せるのかと。
【文庫→四六判】ネオンに暈かされた街を数歩歩き、(p30)→ネオンに暈かされた街を二歩歩き、
【文庫→四六判】新村は懐から取り出した財布を開き、中を覗いて、空を仰いだ。(p30)→新村は懐から取り出した財布を覗き、空を仰いだ。
【文庫→四六判】いくらか残っていた理性が起き出してくる。(p31)→いくらか残っていた理性が起き出し、肩を借りて歩きながら尋ねる。
【文庫→四六判】「なんだよ相談事て」(p31)→「何だよ。相談事て」
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ご覧いただきありがとうございました。
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