詠坂雄二『ドゥルシネーアの休日』(光文社文庫)のエンディング後を考えました。
以下ネタバレがありますので、作品読了後にご確認ください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ドゥルシネーアの休日』の物語は、2010年8月下旬で終わっています。
まずエンディングを考える前に、他の詠坂雄二作品では同時期に何があったのかを記しておきます。
2010年8月頭に柵馬朋康は「ばらくうだ」掲載用のコラムの依頼を受け、8月いっぱい母校の専門学校で臨時講師をしています。(『ナウ・ローディング』)
と、2010年8月はこれだけなんですが、『ナウ・ローディング』の最終章は『ドゥルシネーアの休日』のその後を考える上での参考としました。
さて、エンディング後を考えます。
『ドゥルシネーアの休日』最終ページで相馬(山村)朝里は5年前の続きを始めるようなことを匂わせていました。始めるでしょうね、月島凪に再び会いたいと言っていますし。
続きを始めるということは2010年9月以降に爆弾事件が起こることになります。
いつ起こるのか。
在学中に事件を起こすことはまずないと考えられます。
全寮制の高校なので、外出する際は外出願いを出す必要があり(文庫p134)学校側に記録が残るうえ、伯父にも連絡がいきますので、外出願いが出された日にばかり事件が発生していたら真っ先に疑われます。爆弾事件の前科もありますし。
月島凪に再び会いたいという想いで爆弾事件をおこす予定なので、これは考えられません。月島凪に出会う前に警察に捕まるでしょう。
ではいつからか。
結論は、高校卒業後の2012年4月以降になるでしょう。
相馬朝里は
2010年8月時点で高校2年生です。
2012年3月には留年しなければ卒業です。卒業時19歳、10月で20歳です。
月島凪は2013年頭に北朝鮮から帰国しており、その際、2013年の一年中は爆弾魔にかかりっきりだった(『ナウ・ローディング』文庫p292-293)と語っています。
高校卒業後の2012年4月以降に爆弾事件を月島凪の耳に入るくらいの回数起こし、2013年頭に月島凪が帰国した、もしくは帰国させたとなります。
また、2013年中かかりっきりだったこと、2014年6月時点で爆弾魔のことを過去形で語っている(同)ということで、2013年中には事件が解決したと判断できます。言い換えると、2013年に相馬朝里は再び月島凪に出会えたとなります。
ただ月島凪のことなので、相馬朝里を逮捕したと考えるのは微妙です。佐藤誠の件もありますので、相馬朝里は月島凪に再会し、自発的にか月島凪と話をしてかで爆弾事件をおこさなくなったか、自首したかのどちらかになると思われます。
以上『ドゥルシネーアの休日』のその後を考えてみました。
この物語は語られるのでしょうか。
今後の詠坂作品が楽しみですね。
と、ここまで書いて、新たな仮説が浮かびました。
それは次回にゆずります。
ご覧いただきありがとうございました。
コメントなどあれば是非よろしくお願いします。
0 件のコメント:
コメントを投稿