【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス)「英雄蠅」検証第12回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「英雄蠅」検証第2回目です。
今回は群青武者と光介との戦闘の始まりからの場面になります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「英雄蠅」#12
【新書→雑誌】・舞う蠅たちに(p181上)→まとわりつく蠅に
【新書→雑誌】・承知と闇佐が答えるのと、群青武者が左右に二刀を構えるのと、光介が一刀を抜いて構えたのは、ほぼ同時だった。(p181下)→承知と闇佐が答え、群青武者が左右と大太刀を二刀に構え、光介が刀を引き抜いたのはほぼ同時だった。
【新書→雑誌】・刀冶朗に尋常の剣技は備わらず、もとより我流である。(p181下)→刀冶朗に尋常の剣技は相応しない。もとより我流であった。
【新書→雑誌】・我流と言ってよい。(p182上)→事実上我流と言ってよい。
【新書→雑誌】・ある意味で当然だった。光介の剣は、刀冶朗のそれに思想の面で影響を受けていたからだ。(p182上)→そもそも、光介の剣は刀冶朗のそれに技術だけではなく思想の面で影響を受けている。双方が例のない構えで対峙したのは、だからある意味で当然のことであった。
【新書→雑誌】・斬撃を狙うなら下段より振り上げるべきだ。(p182上)→斬撃を狙うなら下段より振り上げるか、具足の継ぎ目を狙う手がある。
【新書→雑誌】・目の前の武者は確かに守峰刀冶朗だ。(p182上)→目の前の武者は確かに刀冶朗先生である。しかしそれで事態はより不明となってしまった。
【新書→雑誌】・致命傷を受けながら、常闇の魔力で快復した。(p182上)→致命の怪我を常闇の魔力により快復せしめた―
【新書→雑誌】・光介は思考を遮断した。(p182下)→光介は頷き、思考を遮断した。
【新書→雑誌】・刀冶朗の膂力は並みではない。(p182下)→刀冶朗の膂力は半端ではない。
【新書→雑誌】・もう一刀が急所を撫でてくるだろう。(p182下)→もう一刀が急所を撫でてくるに違いなかった。
【新書→雑誌】・そうして振るった腕が作る死角、そこをますぐ走る刃は光介のものである。(p183上)→そのために振るった腕を死角としてますぐ伸びる刃は、光介のものである。
【新書→雑誌】・あばらを抜け、深く心の臓を通した手応えが光介の手に残る。(p183上)→深く、深く、あばらを抜け、心の臓を通した手応え。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#13へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿