【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス)「英雄蠅」検証第13回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「英雄蠅」検証第13回目です。
今回も群青武者との戦闘の場面で、光介と群青武者が斬り合っているところになります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「英雄蠅」#13
【新書→雑誌】・自らの刀は捨てたのか、ない。(p183下)→最前まで掴んでいた刀は捨てたのか、すでにない。
【雑誌のみ】・むろん死んでいるわけもない。(新書p183下9と10行目の間に入る)
【雑誌のみ】・まさに妖怪絵図であった。(新書p183下10と11行目の間に入る)
【新書→雑誌】・考えれば恐怖に囚われる。(p184上)→恐怖で動けなくなるのが何より恐ろしかった。
【新書→雑誌】・加えて胸には刀が突き通っている。痛みがないとしても、躰の安定を崩しているはずだった。(p184上)→加え、胸には刀が突き刺さったままになっている。痛みがなかったとしても、ひどく躰の安定を崩すはずだった。
【新書→雑誌】・まだ充分に機はある。(p184上)→まだ充分に利はある。
※100%負ける、と言っていたのに、“利”とは不適当だから変更したのか、と考えられます。
【新書→雑誌】・すり足で間合いを詰めてゆく。(p184上)→間合いを詰めた。
【新書→雑誌】・遂に至近に迫る。(p184上)→遂に間近に迫った。小太刀でも皮を斬れる位置。
【新書→雑誌】・刀冶朗の跳ね上げた脚が光介の鳩尾に入った。躰が浮いて蹴り飛ばされる。(p184下)→刀冶朗の跳ね上げた蹴りが光介の鳩尾に決まったのは。躰が浮き、吹き飛ばされた。
【新書→雑誌】・刺さっていた刀が抜かれた今ではさらに明らかだった。刀冶朗は傷より出血をしていない。抜かれた刀も異様だった。(p185上)→刃も汚れているようだが、血によるものと確信は持てなかった。
【新書→雑誌】・刀より立ちのぼる闇光が糸と化し、まとわりついているかのような。(p185上)→刀より立ちのぼる闇光が糸と化したかのような。
【新書→雑誌】・何かがその代わりを成しているのだろう。(p185下)→何が代わりにそれを行っているのか。
【新書→雑誌】・光介は背後の闇佐に尋ねた。「闇光は血潮の代わりができるものであろうか」(p185下)→光介は背後に尋ねた。「闇佐殿、闇光とは、血潮の代わりができるものであろうか」
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#14へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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