【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』「コラム①佐藤誠 その名と身分の透明性」検証第2回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回第2回目、「コラム①佐藤誠 その名と身分の透明性」後半部分をみていきます。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「コラム①佐藤誠 その名と身分の透明性」#2
【文庫→四六判】フリーターという不安定な身分と引っ越し癖のため、資料としてまとめられるたび違った住所と職業が記録されてしまう事情もそうした傾向を助長したかもしれないと。(p38)→またフリーターという身分と引っ越し癖の為、資料としてまとめられる度毎に違った住所と職業が記録される事情もそうした傾向を助長したろうと。
【文庫→四六判】一時期の佐藤誠もそうだったが、(p39)→佐藤誠もまた一時期そうであったが、
※佐藤誠もネットカフェなどに寝泊まりしていた時期があったということでしょうか。そういう時期に、蛎塚専務にひろわれてブックセルに入社した、というのかもしれませんね。
【文庫→四六判】そうした意味で社会に繋がった存在ではあるものの、集団を作ることはなくそれぞれ孤立し、主義主張も将来の展望も持たず、学歴も職歴も住所も年齢も軽んじがちで、氏名さえ嘘で固めて良しとしている場合が少なくない。(p39)→そうした意味で社会に繋がった存在ではあるが、遊民集団とは違い、個々で独立しているその大半は主義主張も将来の展望も持たず、履歴も軽んじがちで、学歴も職歴も住所も年齢も、時に氏名さえ虚しく、嘘で固めて良しとしている場合が少なくない。
【文庫→四六判】そのため彼らが自らを偽っている場合、(p39)→その為、例えば彼等が自らを偽っている場合、
【文庫→四六判】連絡が取れたのは一握りだった。(p39)→連絡が取れたのはほんの一握りだった。
【文庫→四六判】行方不明になっていることが判明するのはまだいいほうで、すでに他界してしまった方も何人かいる。(p39)→行方不明になっているのはまだいい方で、既に他界してしまった方も何人かいる。
【文庫→四六判】所有者が二転三転したのち、現在ではリサイクルショップとなり、周囲の景色も当時とは一変してしまっていた。(p39)→今では所有者が二転三転した後にリサイクルショップとなり、周囲の景色も当時とは一変している。
【文庫→四六判】また共同執筆者の想像力に補ってもらった場面も少なくない。(p40)→また共同執筆者の旺盛な想像力に補って貰った場面も少なくない。
【文庫→四六判】ほかの書類より本書が事件をよく捉えているとの自負はある。(p40)→他の何より本書が事件を詳しく捉えているという自負はある。
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