【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』「第一章」検証第3回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は詠坂雄二の代表作というか、代表作ですね。
主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「第一章」水谷育と佐藤誠のはじめての会話、書籍の計算をし始めた部分までをみていきます。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第一章」#3
【文庫→四六判】血で重たくなったティッシュをどけると、相手は顔を顰め、それから彼女の鼻を摘んで揺すった。(p16)→血で重たくなったティッシュを除けると、相手は顔を顰め、彼女の鼻を摘んで揺すった。【文庫→四六判】軟骨は無事みたいだなと告げる。「まあ、怪我は罰だと思うんだね。(p16)→文句も言えず俯く水谷に大丈夫だなと告げる。「軟骨は無事だ。まあ、怪我は罰だと思うんだね。
【文庫→四六判】見つかった相手が悪かったなあ。あいつは作家志望でね。(p16)→間が悪かったなあ。……あいつは作家志望でね。
※普段はそうじゃないけど、というニュアンスでしたが文庫ではそうじゃなさそうですね。
【文庫→四六判】ずっと応募してた雑誌がこないだ休刊になったんで荒れてるんだよ。(p16)→ずっと応募してた雑誌がこないだ休刊になったんで、最近荒れてんだよ。
※休刊した雑誌は『メフィスト』(講談社)です。ちょうど2006年から一年間休刊しています。作中の時期(2006年6月)とリンクしていますね。
【文庫→四六判】万引き犯として連れてこられたのに、茶飲み友達のように扱われている。(p16)→万引き犯として連れてこられたのに、古い茶飲み友達のように扱われている。
【文庫→四六判】彼女の知っている大人たちとは違う対応だった。(p16)→今まで会ってきた大人達とは違う対応だった。
【文庫→四六判】「そういう問題じゃないんだよ。(p16)→「そういう問題じゃないんだよ。ったく。
【文庫→四六判】名前と電話番号を書けと言われるかと思ったが、違った。(p17)→名前と電話番号を書けと言われるかと思ったが、そのどちらでもなかった。
【文庫→四六判】水谷は鼻にあてがったティッシュを左手で押さえてペンを取った。(p17)→水谷はティッシュを左手に持ち替えてペンを取った。
【文庫→四六判】「それを四捨五入して、レジでの値段は四一〇円だ。(p17)→「そう。それを四捨五入して四一〇円だ。
【四六判のみ】これは商品でまちまちで(文庫p18の1行目“正味って言うんだけど、”のあとに続く)
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。
調べれば調べるほど新たな発見がありますね。
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