【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』「第一章」検証第8回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は第8回目、第一章の終盤、佐藤誠が新村に相談事を打ち明けている場面をみていきます。次回で第一章は最終です。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「遠海事件」#8
【文庫→四六判】新村は唾を飲んだ。(p31)→沈黙に新村は唾を飲んだ。
【文庫→四六判】店舗閉鎖に伴う苛立ちも怒りも、元を辿ればそこへ行き着くのかもしれなかった。(p31)→店舗閉鎖に伴う苛立ちも怒りも、いやその店舗閉鎖に至るまでの腐りさえ、辿ればそこへ行き着くのかも知れなかった。
【文庫→四六判】そんなふうに自分の外へ原因を求めるのはプライドが許さず、考えるのを避けていただけで。(p31)→そんな風に何もかも自分の外へ原因を求めるのはプライドが許さず、避けていただけで。
【文庫→四六判】特に中小規模の店舗を展開しているところには逆風が吹いている。(p31)→特に中小規模の店舗をチェーン展開しているところには逆風が吹いている。
【文庫→四六判】よりまずいのは、誰もがその逆風に慣れていることだ。(p31)→よりまずいのは、その逆風にすら慣れていることだ。
【文庫→四六判】判らない自分に失望し、それがまたやる気を削ぐという悪循環に嵌っていたのだ。(p32)→判らない自分に失望し、それがまたやる気を削いでいくという悪循環に彼自身、嵌っていたのだ。
【文庫→四六判】景気の良かった時代を覚えている古参社員の意見は、(p32)→景気の良かった時代を覚えている古参社員の選択は、
【文庫→四六判】でも番犬にも仕える相手を選ぶ権利はある。(p32)→ただ、番犬にだって仕える相手を選ぶ権利はある。
【文庫→四六判】そのため専務寄りだと思われている。(p32)→その為に専務寄りだと皆から思われている。
【文庫→四六判】新村は同僚の横顔を眺めた。(p33)→新村は肩を担がれながら同僚の横顔を眺めた。
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ご覧いただきありがとうございました。
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