【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』「第一章」検証第2回
「君は誰だい」
「あなたの敵よ」
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化などのときに手を加えていまして、『遠海事件』もレ外ではありません。
この作品は詠坂雄二の代表作というか、代表作ですね。
主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は第一章、水谷と佐藤誠の会話の序盤までをみていきます。
なんとなく重要な部分もあります。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第一章」#2
【文庫→四六判】万引き品をデスクに載せてもう一度水谷の背中へ蹴りをくれると、(p14)→もう一度水谷の背中へ蹴りを入れ、万引き品をデスクへ載せると、【文庫→四六判】店長と呼ばれた男はデスクに座り、彼女を見つめている。歳は二十代後半だろう。(p14)→店長と呼ばれた男はデスクに座っていた。二十代後半だろう。
【文庫→四六判】髪には軽くブリーチがかけられ、起伏の薄い作りと細目が笑い顔の印象を作っている。(p14)→髪には軽くブリーチが掛かり、起伏の薄い作りと細目が常時笑い顔の印象を生んでいる。
【文庫→四六判】彼女が着ていた紺色のセーラー服にある衿章を見ての発言だ。(p15)→彼女が着ていた紺色のセーラー服、その襟章を見ての発言だ。
【文庫→四六判】水谷が頷くと、どういうつもりなんだろうって思うよと続ける。(p15)→水谷が考えて頷くと、どういうつもりなんだろうって思うよと言う。
【文庫→四六判】それがいちばん近い気がしたが、水谷は黙っていた。(p15)→それが一番近い気がした。だが水谷は黙っていた。
【四六判のみ】他に思い付かないけど、こうじゃない。(文庫p15の15行目“近くても違うと。”の前に入る)
【文庫→四六判】万引きなんて何度もやってきたのに、(p15)→何度も繰り返してきたことなのに、
【文庫→四六判】「血は止まったかい?ちょっと見せてみ」(p16)→「―血は止まった?ちょっと見せてみ」
※文庫化の際、佐藤誠の問いかけは「~かい?」に変更されています。巻末の『昨日の殺戮儀』を強調するためなのか。巻末のこの部分が、現在唯一の佐藤誠と月島凪が会話している部分です。これ以外は伝聞です。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。
今後も直接対峙した時の話は書かれない気がするのである意味貴重で重要ですね。
いま思い浮かびました。
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