【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件』(光文社文庫)「はじめに」検証第2回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
今回は「はじめに」の部分の第2回目で、後半部分をみていきます。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「はじめに」#2
【文庫→四六判】彼は確かにそれだけの殺しを行ったのであろう。(p4-5)→彼は確かに多くの殺しを行ったのであろう。
※起訴できた13件でもかなり多いからニュアンスの違いで変更されたのだと思われます。
【文庫→四六判】多数の人間を殺害した殺人犯は大抵、その動機も一元化している。(p5)→多数の人間を関連なく殺害した殺人犯は、大抵においてその動機も一元化している。
【文庫→四六判】思想集団への増悪であったりするが、(p5)→思想集団への復讐であったりするが、
【文庫→四六判】その都度必要に応じて殺しているのである。(p5)→その都度必要に応じ、臨機応変に殺しているのである。
【文庫→四六判】動機から凶器、殺害対象に至るまでばらばらで、(p6)→動機から凶器、殺害対象に至るまでその犯行はばらばらで、
【文庫→四六判】しかし佐藤誠は、殺しに非日常を必要としない。(p6)→だが、佐藤誠は殺しに相当する問題―非日常を必要としない。
【文庫→四六判】佐藤誠が有罪判決を受けた事件中、最も有名なもののひとつで、(p7)→佐藤誠が有罪判決を受けた事件中、最も派手なもので、
※他にも有名なもの、佐藤誠最後の事件、でしょうか。
【文庫→四六判】当局の捜査も虚しく迷宮入りし、(p7)→当局の必死の捜査も虚しく迷宮入りし、
【文庫→四六判】筆者が佐藤誠との面会で得た言葉及び資料から構成した原案を元に、(p7)→筆者が佐藤誠との面会で得た言葉、及び事件資料から構成した原案を元に、
【文庫→四六判】そこへ筆者が解説を加えていくという体裁は(p7)→そこへ筆者が解説を加えていくという基本は
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
第一章へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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