『遠海事件』「第一章」#5

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件　佐藤誠はなぜ首を切断したのか？』「第一章」検証第5回

詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。

『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。

今回は第5回目、佐藤誠と時野の会話部分です。水谷育のこと、アルバイト店員のことについて話をしています。

以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。



・【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→四六判】…四六判ではこうだった（カッコ内は文庫のベージ数です）。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「第一章」＃5

【文庫→四六判】「……どうしてだい」(p22)→「……どうして」

【文庫→四六判】今のまま前年比割れを続けててもしばらくは保つってことなんだが」(p24)→今のまま動かずに前年比割れを続けてても、しばらくは保つってことなんだが―」

【文庫→四六判】書店が苦しいのは景気じゃなく時代のせいだと。(p24)→書店が苦しいのは景気のせいじゃなく時代のせいだと。

【文庫→四六判】とりあえず今月で壬国店と干宿店を閉めるから、(p24)→取り敢えずは今月に壬国店と干宿店を閉めるから、

【文庫→四六判】それよりもと佐藤は続けた。(p24)→それよりもと佐藤は呟き、低く唸る。

【文庫→四六判】彼女を殴ったってマジすか」(p25)→先輩が彼女を殴ったって、マジすか」

【文庫→四六判】あとで思い返して自己嫌悪に陥ってんのかもなあって」(p24)→―もしかして、後で思い返して自己嫌悪に陥ってんのかもなあって」

【文庫→四六判】「だから、なれてないのかも知れないすよ。……ちょい疑問なんすけど。どうしてそんな目に遭った子が顔見せてるんすか」(p25-26)→「だから、なれてないのかも知れないすよ」「何にしても、とばっちりでいい迷惑だ」「ちょい疑問なんすけど。どうしてそんな目に遭った子が顔見せてるんすか」

【文庫→四六判】万引き犯を捕まえた時はすぐ通報しろっていつも言ってるじゃないすか」(p26)→万引き犯を捕まえた時は即座に通報しろっていつも言ってるじゃないすか」

【文庫→四六判】「鼻血まみれの女子中学生を警察へ突き出せるか？身内をかばったつもりなんだが」(p26)→鼻血塗れの女子中学生を警察へ突き出せるか？一応、身内をかばったつもりなんだが」

【四六判のみ】店内に客はいない。(文庫p26の11行目“有線のボリュームを下げた。”の後に入る)



コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
ご覧いただきありがとうございました。