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【検証】『日入国常闇碑伝』常闇の正確な発生期間

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2020年4月30日木曜日

『日入国常闇碑伝』「英雄蠅」#10

【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス)「英雄蠅」検証第10回



詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。

『日入国常闇碑伝』の「英雄蠅」検証第10回目です。
今回は光介たちが遠くの方に闇光を感じる場面から、群青具足と相対する直前までの場面になります。

以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。





・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「英雄蠅」#10


【新書→雑誌】・「確かに何かは感じるが、あてにはできぬな」「近付けばよりはっきるすると思います」(p177下)→「確かに何かは感じるが……あてにはなりそうもない」「捨てたものじゃありませんよ。近付けばよりはっきりしてくると思います」

【新書→雑誌】・日輪が遮られているため、朝か夕かも景色からは判らない。だが(p178上)→常闇の道程は時間の感覚を失わせるが、

【新書→雑誌】・大体の見当は付けられる。(p178上)→大体の時間は判るものだ

【雑誌のみ】・それによれなすでに日は暮れているはずなのに―風景の色彩は変わらない。闇のままであるのは当然と言えた。もとより陽がないのだ。だが闇光のありようまでが変わらず、そのため、景色に変化も見られないのである。(新書p178上6行目“大体の見当は付けられる。”の後に入る)

【新書→雑誌】・光介は右手遠くに何かが集まって固まり、凝ってゆくのを感じた。呟く。(p178上)→ざっと右手側、遠くに何かが集まり、固まり、凝っていくのを感じた。それまでの道中、問題もこれといってなかった。当初の予定通りの距離を稼げたということである。であればここはすでに―

【新書→雑誌】・闇佐も遅れて感じたらしく、荷を下ろすと地面に転がる石を二つ三つ拾い上げた。(p178上)→察しよく闇佐が荷を下ろし、どちらですと尋ねた。光介が感じた方角を指すと、地面に転がっている石を二つ三つ拾い上げる。

【新書→雑誌】・闇佐が石を握って力を込めると、(p178下)→「魔道のたぐいですよ」闇佐が石を握り込むと、

【新書→雑誌】・闇光ではない。本物の炎のようだ。(p178下)→闇光とはまた違う、本物の炎のようである。

【新書→雑誌】・青白い炎が中空に尾を引き、見えなくなる。(p178下)→青白い炎が尾を引いてゆく。

【新書→雑誌】・僅かの間のあと、破裂音が聞こえた。(p178下)→その炎が見えなくなったころ、破裂音が聞こえた。

【新書→雑誌】・「―強いな。何故か判る」「向こうも同じように感じているでしょう」(p179上)→「―強い」「感じましたか」「あの辺りに闇光を発する者がいる。何故か、判る」「向こうも同じように感じていますよ

【新書→雑誌】・再び弦を張る闇佐を止め、光介は言った。(p179上)→次は当てましょうと再び弦を張る闇佐に待てと言い、光介は深呼吸をした

【新書→雑誌】・「強敵ですよ」であればこそ敗れた際にことの次第を告げに(p179上)→「強敵だと言ったでしょう」なおのこと、敗れ死した際にことの次第を告げに


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#11へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

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