【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」検証第19回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「雨鉄炮」検証第19回目です。
今回は、相手方の小屋に近付き虫の息の放己と話をし、小屋が焼け落ちた場面までになります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
「雨鉄炮」#19
【新書→雑誌】・妖魔の似姿に戸惑った隙を突かれたのであろう」(p155上)→妖魔の似姿に戸惑い、その隙を突かれたのであろうよ」
【新書→雑誌】・我より先だって訪れた誰かであったことになろうかな。(p155上)→ここにおったのは妖魔などではなく、我より先だって訪れた誰かであったことになろうか。
【雑誌のみ】・まさにな。(新書p155上17行目“雨鉄炮よ。”の後に入る)
【新書→雑誌】・「貴様が放てたということは、もしやカタメは生きておるのか」(p155下)→「貴様が当てたということは、カタメは生きておるのか」
【雑誌のみ】・手で。秘話でのやりとりがあったのか。(新書p155下9と10行目の間に入る)
【新書→雑誌】・だがそれでもなお雨鉄炮の名と形女衆は伝えられよう。(p155下)→だが雨鉄炮の伝と、形女衆は伝えられよう。
【新書→雑誌】・それを、そのことを、忘れるな……」(p156上)→それを……忘れるな……」
【新書→雑誌】・そして放己は事切れた。しばらくテナガはその死骸を見つめていた。(p156上)→闇光が散ったように見えた。事切れた放己をじっとテナガは見つめている。言葉を噛みしめているのか。
【新書→雑誌】・小屋の炎は収まらない。(p156上)→雨は降っているのに、小屋の火は止む気配がない。
【新書→雑誌】・半刻と経たず小屋は全焼した。(p156上)→火勢の強さゆえ、半刻と建たず(原文ママ)小屋は全焼した。
※誤字だと思います。
【新書→雑誌】・孤立していたため燃えるものがないことばかりがその理由でもなかった。(p156上)→忌み場ゆえ孤立しており燃えるものとてなく―だがそれだけが理由ではなかった。
【新書のみ】・そしてまただからこそよく乾いており、ここまで火の回りが早かったのだ。(p156下)
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#20へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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