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2020年4月12日日曜日

『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」#14

【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」検証第14回


詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。

『日入国常闇碑伝』の「雨鉄炮」検証第14回目です。

今回は、雨鉄炮を討伐する理由を語っているところから銃撃戦が始まったところまでの場面になります。

以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。





・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。


「雨鉄炮」#14



【新書→雑誌】・長く続いた戦世は常闇により均された。(p149上)→乱国の世は常闇により均された。

【新書→雑誌】・焔硝がため死者を焼かずに腐らせてまで鉄炮を放つ者どもとして」(p149上)→焔硝がため死骸を焼かずに埋め、そうしてまで鉄炮を持つ者どもとして」

【新書→雑誌】・ひとびとのあいだに戦世に戻りたくない思いがあると同時に、常闇というよく判らぬ異界があるおかげでもあろう。(p149下)→人々のあいだに百葉の時代に戻りたくないという想いがあると同時に、常闇という共通の敵―よく判らぬ異界があるおかげであろう。

【新書→雑誌】・戦世に生きる者どもは居場所をなくしたのだ。(p149下)→乱世にのみ生きる者どもは居場所をなくしつつある
※なくしつつあるからの変更は、雑誌版の時代設定が常闇発生から十数年後になっているためでしょう。詳しくはブログ「雨鉄炮」#1を御覧ください。

【新書→雑誌】・その眼が突然に弾けた。遅れて銃声が闇佐の耳を打つ。(p149下)→―が、突然の銃声と共に、その頭が弾けた。

【新書→雑誌】・頭蓋の中身をまき散らしつつカタメの躰は壁へ激突し、小屋全体を軋ませた。(p149下)→頭蓋の内容物をまき散らしつつ、遅れて動いた躰が壁に叩き付けられ、小屋全体を軋ませる。

【新書→雑誌】・闇佐はとっさに床へ倒れ込んだ考えての動作ではない。(p149下)→闇佐はとっさに床へ倒れた狙った動作ではなかった

【新書→雑誌】・カタメを見て、闇佐は慄然とした。頭部が形を成していなかったからではない。(p150上)→カタメを見るが、頭がもう形を成していなかった。即死だ。だが闇佐を慄然とさせたのはそのことではない。

【新書→雑誌】・屍体が背負う鉄炮にテナガが取りつき、引き剥がしていたのだ。(p150上)→屍体が背負っていた鉄炮に、すでにテナガが取りつき、引き剥がしているのだ。

【新書→雑誌】・平然と自の役を全うしようとしている。(p150上)→平然と女の子が自らの役を全うしようとしている。

【新書→雑誌】・銃声を聞き慣れていない耳に、(p150上)→銃声聞き慣れぬ耳には、

【新書→雑誌】・それでもカタメの頭部に空いた穴の角度より、大体の見当は付けられる。すでにテナガはそちらを向き、地に伏せていた。(p150上)→だがカタメの頭が爆ぜた方角、そちらから弾が飛んできたことは判る。テナガが地に伏せたまま躰を敵方へと向けた。

【新書→雑誌】・小屋の壁に破れがある。(p150上)→小屋の破れがある。



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#15へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

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