【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」検証第15回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「雨鉄炮」検証第15回目です。
今回は、雨の中銃声が聞こえたところから敵らしき姿を捕えた場面までになります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
「雨鉄炮」#15
【新書→雑誌】・弾丸はそこを通ってカタメの頭部を抜いたのだろう。遠方より狙ったのだ。(p150上)→そこを貫き、敵はカタメの頭を抜いたのであろう。至近ではない。遠方より狙ったのだ。
【新書→雑誌】・雨が降っているのだ。(p150下)→雨なのだ。
【新書→雑誌】・少なくとも鉄炮の扱える距離一帯が霧雨に包まれている。(p150下)→少なくとも鉄炮の扱える距離一帯が雨に包まれている。
【新書→雑誌】・銃声が聞こえ、小屋の壁に穴が空いた。(p150下)→銃声が聞こえた。小屋の壁を叩く。
【新書→雑誌】・牽制しているようだ。(p150下)→牽制しているのか、いずれにしろ方角は同じだった。
【新書→雑誌】・恐らく早合を使っている。敵の鉄炮は一挺と見るべきだろう。複数あるならもっと早いはずだ。(p150下)→予め装塡済みの鉄炮を複数用意してあればもっと早くできるだろう。早合を使い玉薬と玉を込め直したのだ。敵が持っているのが鉄炮だとすれば、それは一挺と見るべきか。
【新書→雑誌】・応えず闇佐は壁の破れに近付き、壁に背を付けてそっと外を窺おうとした。だが見計らったように銃声が響く。(p150下)→闇佐はまず壁の破れに近付き、壁に背をもたれてそっと外を窺おうとした。が、銃声。
【新書→雑誌】・表面は景色が映せるほどに磨いてある。(p151上)→表面が磨いてある。
【新書→雑誌】・それを壁の破れより突き出して外を窺った。(p151上)→それを壁の破れよりそっと突き出し、敵方を窺う。
【新書→雑誌】・敵らしき姿を捉えたのと、鏡が手中より吹き飛んだのは同時であった。金属の円盤は回転しながら飛び、向かいの壁に穴を空けて消えた。(p151上)→首尾よく敵の姿を捉えたのと、銃声と共に鏡が手中より吹き飛んだのは、ほぼ同時であった。金属の円盤は小屋の中を飛び、向かいの壁に穴を開けて消えた。
【新書→雑誌】・充分だと闇佐は思う。(p151上)→だがその一瞬で、敵を闇佐は捉えていた。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#16へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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