【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」検証第9回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「雨鉄炮」検証第9回目です。
今回は、雨鉄炮退治に出発しての道中での会話から、テナガが鷲らしき鳥を撃ち落とした場面までになります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
「雨鉄炮」#9
【新書→雑誌】・役とは雨鉄炮退治のことですかと闇佐が問えば、いいえ、と首を振る。(p140下)→だが、雨鉄炮退治ですかと闇佐が問えば、いえ、と首を振った。
【雑誌のみ】・名は大したことでもないでしょう。(新書p141上2行目“かつて形女衆が”の前に入る)
【新書→雑誌】・闇佐が黙っていると、ためらいつつ続けた。(p141上)→闇佐が先を促すと、さすがにためらいつつ続けた。
【新書のみ】・「実のところこだわる理由は技のためかと」(p141上)
【新書→雑誌】・常闇が下りるより以前の鍛冶師です。(p141上)→常闇以前よりの鍛冶師です。
【新書→雑誌】・本当に扱えるのかという疑いも芽生えてしまう。(p141下)→本当に扱えるのかという疑いも抱いてしまう。
【新書→雑誌】・おもむろにカタメが早合を破って放ち備えを始めたのだ。(p141下)→おもむろにカタメが早合を破り、一挺の放ち備えを始めたのだった。
【新書→雑誌】・しかしである。(p141下)→が、である。
【新書→雑誌】・カタメはテナガにそれを持たせると、その手を握り耳元で何事か囁いた。(p141下)→カタメはテナガにそれを持たせつつ、手を握り、耳元で何事か囁いた。
【新書→雑誌】・銃口がすっと動いて、止まった。銃火が瞬き、銃声が響いた。遅れて黒煙が漂い出す。(p142上)→銃口が、まったく自然の流れのまま突然火を噴いた。
【新書→雑誌】・我流の構えであったのか。(p142上)→構えであったのか。
【新書→雑誌】・確かに躰が小さく目方が軽い分、通常の構えでは鉄炮を支えることすらできないであろうが―(p142上)→躰が小さく目方が軽い分、通例の構えでは鉄炮を支えることができぬということか。それにしても―
【新書→雑誌】・翼を広げた鷲らしき猛禽だ。らしきと曖昧な表現になってしまうのは、頭がなかったからである。(p142上)→翼を広げた鷲らしき鳥には、頭がなかった。身には傷がまったくついていない。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#10へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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