【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」検証第13回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「雨鉄炮」検証第13回目です。
今回は、常闇に住む妖魔についての説明部分から、村落の外れの焔硝小屋へ到着し、カタメたちが焔硝小屋に手を合わせたあとまでの場面になります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
「雨鉄炮」#13
【新書→雑誌】・濃い闇光に住まうとも言われていた。(p147下)→濃い闇光より顕れるとも言われ、
【新書→雑誌】・雨と川以外は静謐そのものである。(p147下)→雨と川、水以外は静謐そのものである。
【新書→雑誌】・妖魔とは大抵目立つ。(p147下)→妖魔とはだが大抵、目立つものだ。
【雑誌のみ】・狩りをする獣のように潜み、こちらを窺うといったことはまずしない。そこにこそ、獣ではなく妖魔と呼ばれる理由がある。(p147下13行目“それと判る。”の後に続く)
【新書→雑誌】・三人は次に村はずれに建つ小屋へ向かった。(p147下)→三人は次にやや離れた外れに並ぶ小屋に向かった。
【新書→雑誌】・農作物の足しに作っていたところも多かったという。(p148上)→鉄炮はなくとも農作物の足しに作っていたところも多かったのだ。
【新書→雑誌】・元手は糞尿や刈り腐らせた草木だ。(p148上)→元手は糞尿や種々の草木である。
【新書→雑誌】・村はずれに建てられるのが通例であった。(p148下)→村はずれに建てられるのは道理であった。
【新書→雑誌】・濡れてしまっており、使えそうもない。(p148下)→濡れており、そのままでは使えそうもない。
【新書→雑誌】・闇佐の視線に気付くと、カタメが言った。(p148下)→闇佐の視線に気付き、語り出す。
【新書→雑誌】・焔硝小屋の闇光は村の中でも一際濃い。(p149上)→であるがゆえだろう。焔硝小屋の闇光は村落の中でも一際濃いものだった。
【新書→雑誌】・そう気にしてみれば、村を囲むようにして闇光が濃く感じられる箇所はほかにもある。そちらにも同じような焔硝小屋があるのだろう。(p149上)→つまり―遠目に闇光が強く感じられる村落の他の箇所にもまた、同じように焔硝小屋があるのだろう。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#14へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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